2005年11月18日(金)「しんぶん赤旗」

国保証とられ受診抑制

一般被保険者の190分の1の県も

保団連調査


 国民健康保険証をとりあげられ「資格証明書」を交付された人は医療を受ける率が著しく低いことが十七日、全国保険医団体連合会の調査でわかりました。治療の遅れにより死亡する例もある保険証とりあげの実態が明らかになりました。

 調査は十九都道府県を対象に実施。資格証明書を交付された人の受診率(百人あたりの年間受診件数)を推計しました。

 資格証明書交付世帯が最も多い神奈川県では、交付を受けた人の受診率は二三・〇三三件で、一般被保険者の約三十分の一でした。二番目に多い福岡県の受診率は同約百分の一。最も格差が大きかったのは香川県で、同約百九十分の一でした。

 保団連は、「滞納対策として資格証明書を交付する措置はただちにやめるべきだ。国保の保険料率を他の医療保険なみに引き下げることが不可欠」としています。

 国保料を一年以上滞納すると、保険証をとりあげられて資格証明書が交付されます。滞納の背景には、高い国保料の問題があります。国保の被保険者は高齢者、自営業、失業者など、低所得の人が中心。「払いたくても払いきれない」世帯が多いのが実情です。

 資格証明書では、医療費を窓口で全額払い、市町村で手続きをすると、保険給付分(現役世代で七割)が払い戻される仕組み。そのため、受診しにくくなっています。保険証とりあげは、一九九七年(小泉首相が厚相当時)に国保法が改悪され、二〇〇〇年度に実施されて以降、急増しました。市町村の「裁量」で行っていた保険証とりあげ措置を、「義務」にしたためです。


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