2005年11月16日(水)「しんぶん赤旗」

元ペルー大統領

フジモリ氏、チリで拘束1週間

国民は厳しい目

政界に衝撃も


 日本国籍を持つフジモリ元ペルー大統領が入国先のチリで拘束されてから、十四日で一週間が経過しました。同氏は、人権侵害などでペルー当局から刑事訴追される中、大統領選挙への出馬を表明しています。しかし、ペルー国民はフジモリ氏にきびしい目を向けています。(メキシコ市=松島良尚)


 ペルーの有力紙コメルシオ十三日付が発表した世論調査によると、69%がフジモリ氏は人権侵害などで「有罪」と回答。同氏が大統領選に出馬した場合、60%はフジモリ氏には絶対に投票しないと答え、14%が同氏に投票するという結果でした。

 フジモリ氏への支持には、有力大統領候補が見当たらないことに加え、現政権内部の相次ぐ汚職や貧困対策などでの不満が反映しているとみられます。

 フジモリ氏はチリ滞在を来年四月の大統領選挙に向けた足がかりにするねらいだったといわれますが、チリ政府は十三日、同国内での同氏の政治活動を禁止すると発表。フジモリ氏にとって厳しい措置です。しかし、支持者や陣営を鼓舞し、ペルー政界に衝撃を与えるという点ではすでに大きな影響をもたらしています。

 現局面は、ペルー政府からの送還要請文書を待っておこなわれるチリ最高裁の審理にかかっています。

 一方、チリ最高裁の審理がペルー大統領選の立候補締め切りである一月八日までに終わるのかどうかという問題が事態を複雑にしています。

 「十年間の公職追放」というペルー国会の決議によってフジモリ氏の立候補が認められるのかどうかは疑問です。審理中の立候補届出がチリ国内での政治活動にあたるのかどうか、また、フジモリ氏がチリに滞在したままペルー選管が立候補を認めるのかは不明です。

 今回の一連の動きの中で、日本で事実上の亡命生活を送っていたフジモリ氏の出国をめぐる日本政府の対応などで、ペルー、チリ両国から批判が出されました。ペルー政府は駐日大使の召還を発表しました。

 日本政府はこれまで、ペルー政府からのフジモリ氏の身柄引き渡し請求に一度も正式の回答はしておらず、国内法である「逃亡犯罪人引き渡し法」によって自国民は引き渡せないとの立場を示唆してきました。

 ▼フジモリ元ペルー大統領 一九九〇年から二〇〇〇年まで大統領。同年十一月、側近だった国家情報部顧問の不正蓄財や買収問題で大統領の責任が追及される中、滞在中の日本から辞表を提出。ペルー国会は辞表受理を拒否し、「道徳的に不適格」として罷免決議を可決。翌〇一年には、フジモリ氏の「十年間の公職追放」も決議しました。フジモリ氏はその後、検察当局から、リマ市内で左翼ゲリラと疑われた住民十五人が射殺された「バリオスアルト事件」(九一年)や国家情報部顧問に千五百万ドルの功労金を渡したとする公金横領など、二十一の罪状で刑事訴追されました。


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