2005年11月10日(木)「しんぶん赤旗」

校内で「内心の自由」語れず

「君が代」強制解雇裁判 処分対象にも

東京地裁


 卒業式の「君が代」斉唱で起立しなかったため定年後の再雇用を取り消され事実上解雇された東京都立高校元教員十人が、その撤回を求めて都教育委員会を訴えた裁判の第八回口頭弁論が九日、東京地裁で開かれました。原告らが勤務していた学校の同僚教師一人と校長二人が証言しました。

 元同僚教師は、二〇〇三年十月に都教委が出した通達により、校長が教職員に起立・斉唱をするよう職務命令を出し、式の前に生徒や保護者に内心の自由について説明することもやめさせられたと語りました。

 また、多数の生徒が起立しなかったことについて都教委から六人以上が調査に入り、自分も個室に呼ばれて「生徒会活動で内心の自由について説明したのか」と取り調べられたと証言。「教師たちは内心の自由を説明すれば処分対象になるのだと思い知らされ、『これからは憲法一九条(思想・良心の自由)の説明は命がけだ』という声が出ていた」とのべました。

 都教委側の証人として出廷した校長二人(一人はすでに退職)は、教職員に職務命令を出したのは都教委から指示があったからではなく、自分の判断だと主張しました。

 しかし、原告側の反対尋問により、校長連絡会で式の実施の仕方について文書が配られたり、式場の座席配置を都教委の指導で変更するなど、都教委が細かい指示を出していたことが明らかになりました。

 原告らが事実上解雇されたことについては「予想していなかった」と証言。処分が校長らの想像さえも超える厳しいものだったことが明らかになりました。


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