2005年11月9日(水)「しんぶん赤旗」

ハンセン病「台湾訴訟」

日本人と公平に補償して

政府の控訴に原告らが抗議


 「控訴には怒りと失望の気持ちでいっぱいだ」「日本人と公平に補償してほしい」―。植民地下のハンセン病強制隔離をめぐる補償訴訟で、厚労省が八日、「台湾訴訟」について控訴を決定したことを受けて、台湾、韓国の原告や日本の弁護団、支援者らは怒りの声をあげました。


 厚労省前の抗議行動には約百人が参加。「早期解決といいながら、控訴するのは矛盾する」「八十歳を超える原告たちは待てない」と次々に訴えました。

 弁護団によると、原告の平均年齢は八十一歳。今年七月十九日から現在までの三カ月で原告五人が亡くなりました。

 ハンセン病問題に十年間かかわっているというフリーライターの村上絢子さん(61)は「控訴は人間として許されない」と話します。日本の療養所だけでなく、今年一月には韓国のソロクトを訪問しました。「日本は戦後六十年間、置き去りにした原告らに対する責任が問われている。厚労省は原告の声に耳を傾けてください」。

 「群馬ハンセン病裁判を支援し、ともに生きる会」の永井正取副会長(61)は「国内の療養所入所者に対して小泉首相は謝り補償した。植民地支配をしていたときの国外療養所入所者に謝罪せず、補償もしないというのは筋が通らない。これでアジアの見る目はさらに厳しくなる」と話しました。日本共産党の仁比聡平参院議員がかけつけ、あいさつしました。

■原告弁護団が抗議の声明

 韓国小鹿島(ソロクト)更生園・台湾楽生院訴訟の原告弁護団(代表・国宗直子弁護士)は八日、抗議声明を発表。

 「声明」は、「(厚労省の)告示を改正することで解決を急ぐことが現実的な方法」と指摘。国内入所者と韓国、台湾の入所者に補償金額の格差を設けようとする動きに対して「平等原則上許されない」と批判し、「原告・弁護団との協議の場を速やかに設けること」を求めています。韓国と台湾の弁護団も同様の声明を発表しました。

 ▼旧植民地ハンセン病訴訟 日本の植民地時代に総督府が設立した韓国のハンセン病療養所「国立小鹿島(ソロクト)病院」(旧小鹿島更生園)と、台湾の「楽生療養院」(旧楽生院)の入所者計百四十二人が、「強制労働や中絶強要など人権侵害を受けた」などとして、国にハンセン病補償法に基づく補償金支給を求めました。海外の強制隔離政策をめぐる初の訴訟で、東京地裁の別々の部で審理されました。「台湾訴訟」は原告が勝訴しましたが、「韓国訴訟」では補償対象とは認めず、原告が控訴しました。


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