2005年10月31日(月)「しんぶん赤旗」

大野防衛庁長官 「オー・イエス」と大はしゃぎ

再編経費に税金投入

国民へ説明前に約束


 「(在日米軍再編には)相当な財政が必要だ。財務省には、私の名前のように『オー・ノー』ではなく、『オー・イエス』と言うようにしたい」――。大野功統防衛庁長官は二十九日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)後の共同記者会見で大はしゃぎ。今回合意した再編にかかわる経費を日本側で負担する考えを示しました。これは、日本国民の血税をさらに注ぎ込む“第三の米軍思いやり予算”というべきもので、「オー・イエス」と軽口をたたく性質のものではありません。

■地位協定上も負担の義務なし

 日本政府はこれまで、在日米軍の基地従業員の労務費や施設建設費、光熱水料、訓練費といった地位協定上も日本側に負担義務のない経費を「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)として支出。一九七八年度以降、総計で四兆七千億円以上を負担してきました。それに加えて、“第二の思いやり予算”というべきSACO経費も負担してきました。

 SACO経費とは、一九九六年の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告を実施するための経費のこと。同報告で、沖縄にある米軍基地の「県内たらい回し」を日米で取り決め、九七年度以降すでに千五百億円以上をつぎ込んできました。

 その目玉だった普天間基地に代わる新基地を辺野古沖に建設する計画には、約三千三百億円も見込んでいました。

■大規模な再編にばく大な費用が

 今回、2プラス2で合意した在日米軍基地の再編は、普天間基地に代わる新基地のキャンプ・シュワブ沿岸への建設や、厚木基地(神奈川県)の空母艦載機の岩国基地(山口県)への移転など、膨大なものです。

 本土の米軍基地を含めた今回の合意は、SACO合意を上回る大規模な再編計画となりました。ばく大な費用がかかるのは、避けられません。

 しかも、今回の協議で、ラムズフェルド米国防長官は、来年三月に期限を迎える「思いやり予算」の特別協定に触れ、「日本側の支援は重要だ」と十分な予算の確保を要求しました。町村信孝外相は「(新協定締結に向けた)協議を加速させたい」と応じました。

 2プラス2で合意した中間報告の狙いは「同盟の能力向上」。世界とアジアへの出撃拠点となる在日米軍基地の維持・強化を、自衛隊を組み込む形ではかろうというものです。そんな経費を、負担を押し付けられる国民には何の説明もしないまま、米国には真っ先に「イエス」という――。そこまで米国いいなりの日本政府こそ、国民にとって「オー・ノー」です。

(田中一郎)


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