2005年10月30日(日)「しんぶん赤旗」

2+2「中間報告」

同盟能力を強化


 「日米同盟 未来のための変革と再編」―。二十九日に日米安全保障協議委員会(2プラス2)が合意した「中間報告」のタイトルです。これに示されているように、今回の「中間報告」は、単に在日米軍の部隊・基地の再配置にとどまるものではありません。

 「中間報告」は、空母打撃部隊、海兵遠征部隊、航空遠征部隊など、地球的規模で展開する在日米軍の「打撃力」を維持・強化するとともに、自衛隊を米軍の補完戦力として「変革・再編」、日本の民間空港・港湾なども全面的に動員し、「(日米)同盟の能力の向上」を図り、地球的規模での日米共同の“先制攻撃態勢づくり”を進める内容になっています。

■司令一体

 そのための大きな特徴は、米軍と自衛隊の司令部の一体化です。

 具体的には、横田基地やキャンプ座間での日米新司令部の設置などです。

 米海軍第七艦隊(空母打撃群)と海上自衛隊はすでに横須賀基地に司令部を置いています。これに加えて航空遠征軍を構成する在日米空軍と航空自衛隊は横田基地で、米陸軍と海外派兵専門の陸上自衛隊部隊がキャンプ座間で司令部を一体化することになります。加えて在日米軍司令部が置かれている横田基地には、陸・海・空の自衛隊との「共同統合運用調整所」まで設置することになっています。

 日本は、米軍のアフガニスタンでのテロ報復戦争やイラク戦争といった先制攻撃の戦争や、同戦略を補完する「ミサイル防衛」(MD)網での協力などを行ってきました。日米の司令部一体化はこうした協力をいっそう円滑にし、拡大するのが狙いです。

■基地拡大

 米側はこの間、日本国民の負担を減らすには「自衛隊が(米軍に代わって)何をするかにかかっている」(ローレス米国防次官)と繰り返してきました。“米軍基地を減らしてほしければ、自衛隊は役割・任務・能力を強化しろ”という要求です。

 しかし、「中間報告」では、基地は減るどころか、自衛隊基地の「米軍基地」化が一気に進められようとしています。

 報告は、米軍と自衛隊の「訓練機会の拡大」を挙げ、米航空部隊の訓練を全国の自衛隊基地などに拡大することを明記しています。これは、米軍機の爆音被害を全国に拡大するものです。「緊急時」などを口実にした米軍による自衛隊基地や民間空港・港湾、道路などの使用も打ち出しています。

 日本政府はそのための有事法制をすでに制定していますが、報告はさらなる「安全保障政策・法律・取極に従った二国間協力の強化」まで求めています。

■地元反発

 「中間報告」は、日本政府が来年三月までに再編計画について「地元との調整を完了することを確約」したと明記しています。しかし、その思惑通りに進む保証はありません。

 それは、在日米軍兵力を基本的に維持し、基地を抱える自治体に新たな負担を課すものだからです。このため日米両政府は、自治体や国民には一切、情報提供せず、秘密裏に協議せざるを得ませんでした。しかし、すでに全国の関係自治体・住民らは、今回の再編計画に猛反発しています。日米間の「合意」に、国民は同意していません。(竹下岳)


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