2005年10月29日(土)「しんぶん赤旗」

米政権

地中貫通核兵器を断念

予算削除 新型開発には道


 【ワシントン=山崎伸治】地中貫通型核兵器(RNEP)の開発を目指してきたブッシュ米政権が、二〇〇六会計年度(今年十月―来年九月)の開発予算四百万ドル(四億六千万円)を削除し、同核兵器の開発を事実上、断念したことが二十六日、判明しました。

 米国の核開発を管理するエネルギー省核安全保障局が研究を中止するとして予算削除を要請したことを、上院歳出委員会小委員会のドメニチ委員長が明らかにしました。

 これには、「反対運動の成果だ」と歓迎する声が上がる一方で、RNEP以外の新型核兵器開発の道は閉ざされていないと警戒する見方も出ています。

 RNEPは、核弾頭を地中十―二十メートルの深さまで貫通させたところで爆発させ、目標を破壊する核兵器。米政府が地表爆発核兵器に比べて少量の放射能降下物しか出さない「きれいな核兵器」だとしていることに対し、科学者団体などから危険性が指摘されてきました。

 RNEP開発をめぐっては、〇五会計年度予算でも、政府が要求したにもかかわらず議会の反対で削除されていました。ラムズフェルド国防長官は今年一月、エーブラハム・エネルギー長官(当時)にメモを送り再度予算計上を求めるなど、復活に並々ならぬ執念をみせていました。

 〇六会計年度予算の審議では、エネルギー予算にRNEP開発費を盛り込むことに下院が反対し、上院が賛成。一方、国防予算に模擬爆弾投下実験などRNEP開発関連費用を盛り込むことには、下院が賛成し、上院が反対。上下両院協議会で調整が続けられていました。

 核戦争阻止国際医師会議(IPPNW)の加盟組織「社会的責任のための医師」(PSR)のマーティン・ブッチャー氏(安全保障問題担当)は、米国が他国の核開発を食い止めようとしていることを踏まえ、「政府はようやく言葉でなく行動で示すべきだということに気づいた」と指摘。

 民間団体「軍備管理協会」のキンボール事務局長は、「RNEPは死んだかもしれないが、新型核兵器の役割をめぐる議論は終わったどころではない」と指摘しています。


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