2005年10月29日(土)「しんぶん赤旗」

「自立支援」法案への笠井議員の反対討論

(大要)


 二十八日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の笠井亮議員の行った障害者「自立支援」法案への反対討論(大要)は次の通りです。

 ◇

 日本共産党を代表して討論を行います。政府提出法案は、障害者の福祉サービスへの一割「応益負担」の導入をはかろうとするものです。

 反対の第一の理由は、障害者にとって基本的人権である、コミュニケーションや移動、地域での生活を保障するサービスを「利益」として負担を求めれば、サービスを多く必要とする重度障害者ほど重い負担を強いることになることです。

 負担上限や減免制度を設けて配慮したと言いますが、施設入所の場合、手元に残るのは月額二万五千円にしかなりません。グループホームや通所施設に通う場合は手元に生活費が残る保証はなく、厳しい仕打ちを押し付けるものとなっています。このような「応益負担」は障害者の自立と社会参加に逆行するものであり、断じて認めるわけにはいきません。

 第二の理由は、精神通院、更生医療、育成医療という公費負担医療制度にも「応益負担」を導入し、重い負担を強いるからです。この負担増は、障害者を医療機関から遠ざけ、必要な医療を受けることを妨げ、健康状態の悪化を招き、命をも脅かすことは明らかです。

 本法案による負担は年間七百億円にもなります。所得保障もせず、サービスを手に入れられない状態に障害者を置きながら「サービスは利益だ」という立場から負担を求めることは、障害者の自立と社会参加、人権保障に真っ向から反する姿勢であることを厳しく指摘するものです。

 第三の理由は、障害程度区分のモデル事業が示すように障害者の実態把握が検証されていないこと、法案の根幹にかかわる二百を超える重要事項が政省令事項とされており現在の検討状況から見て、障害者へのサービスが抑制されることが必至だからです。

 多くの障害者や関係団体が本法案の慎重審議、廃案を求める声を上げています。これほど障害者自身が声を上げたことを国会は経験したことがありません。世界では国連を中心に障害者差別禁止など大きな流れが広がっています。何より障害者と家族の声にしっかり耳を傾け、真に自立を支援し、社会参加を前進させる抜本的施策をとるべきです。障害者の全面参加と平等を進める立場からみるなら、本法案は自立支援どころか自立を妨げるものであり、撤回すべきです。

 民主党案については「応益負担」を導入しないというもので賛成するものです。


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