2005年10月25日(火)「しんぶん赤旗」

畑野さん得票率倍加 (衆院比例比)

自・民は得票数半減 力関係に変化

参院神奈川補選


■当選は川口氏

 二十三日投開票された参議院神奈川選挙区補欠選挙(定数一、立候補三)は、自民、民主両党が、九月の衆議院選挙での得票を半減させたなかで、日本共産党の畑野君枝氏(48)=前参院議員=が、三十七万五千五百七票(得票率16・38%)を獲得しました。当選は自民党新人で前外相の川口順子氏(64)=公明党推薦=でした。(投票率32・74%)

 開票翌日の二十四日朝、畑野氏は、横浜市中区の関内駅前に立ち、選挙結果を報告しました。職場へ向かうサラリーマンや女性たちが、何人も畑野さんに握手を求め、「がんばってください」と激励しました。

 日本共産党の得票は、衆院比例票より票数で四万八千票余り上積みし、一・一五倍にしました。得票率は、6・98%から16・38%に二・三倍も増やしました。

■唯一“基地反対”

 米陸軍・第一軍団司令部のキャンプ座間移設に市をあげて反対している座間市では衆院選時の二・五倍の得票率(18・14%)を記録。川崎市全体では全県平均を上回る19・72%、同市川崎区では23・87%を得ました。

 一方、川口氏を擁立した自民党は、公明党の支援を受けたものの衆院比例票より八十七万九千票余も減らし百十五万八百六十八票、牧山弘恵氏(41)を立てた民主党も、五十六万四千票余減らし七十六万五千五百八十九票でした。(表参照)

■最近の国政選挙での各党候補の得票数と率■

( )内の数字は得票率

        2005年参院補選  05年衆院比例   04年参院選

日本共産党   375507票    327041票    397660票

(畑野君枝)   (16.38%)   (6.98%)    (10.85%)

自民党    1150868票   2030524票   1217100票

         (50.21%)   (43.35%)   (33.22%)

民主党     765589票   1330222票   1700263票※

         (33.40%)   (28.40%)   (46.41%)

※は2候補の合計の得票数と率

 この結果、衆院選時の自民党と共産党の得票比は六対一、自民・公明与党の合計得票でみると八対一でしたが、今回は三対一に大きく縮まり、さらに民主党とは、四対一が二対一となり、政党間の力関係を大きく変えました。

 畑野氏は、総選挙後、小泉自公政権が、民意をゆがめる小選挙区制で得た“数の力”で推進しようとしている庶民大増税、憲法改悪、キャンプ座間への米軍司令部移設などの基地強化にきっぱり反対すると主張し、「小泉暴走政治にストップをかけるたしかな力です」と訴えぬきました。

 畑野氏が得票を大きく伸ばした背景には、小泉自公政権の悪政と真正面から対決する“たしかな野党”としての、日本共産党への支持と期待の広がりがあります。

 一方、自民、民主両党が大幅に得票を減らした背景には、小泉暴走政治への批判とともに、自民党と悪政を競い合い、明確な対決軸を示せない民主党への批判の強まりがあります。

 「朝日」二十四日付の担当記者座談会で、「争点になってもおかしくない話として在日米軍再編問題があった」が、「真正面から『反対』と訴えたのは畑野氏だけだった」とのべ、「川口氏にも牧山氏にも、率先して議論しようという姿勢はなかった」と指摘。「読売」も「米軍基地の再編問題を真っ正面から取り上げたのは畑野氏だけ」、川口氏は「基地問題にはほとんど言及しなかった」と指摘しました。

■無党派の支持も

 長谷川幸生・中央大学名誉教授=逗子市在住=は「夏の総選挙より、日本共産党が巻き返したことは間違いありません。庶民大増税や憲法改悪、基地強化に反対するとした公約も、多くの県民が賛同できるものです」と話し、元神奈川新聞編集委員で、三響堂代表の福田光雄さん(67)=横浜市港南区在住=も「畑野さんの訴えは正しかったし、支持・賛同者の数は着実に伸ばしたと思う」と指摘します。

 さらに「読売」は同日付で「畑野氏は無党派層の23%の票を得て、衆院選での共産党への無党派層の投票(9%)を大きく上回った」と指摘。「朝日」も、畑野氏は無党派層から25%を獲得し、また、年代別では「20代が20%と最も高かった」と報じています。

 「再来年の参院選挙ではぜひとも当選してもらいたい」と話す福田さんは「当選のためには、憲法改悪、基地強化反対などの賛同者をもっと増やす日常不断の活動が、より重要になっていると思います」といいます。

 長谷川さんも「今回は、小泉内閣に対する県民の批判の声を、畑野さんへの支持に結びつける力は、まだまだ不足していたと思います。畑野さんがいない国会は、県民にとってもったいない。この悔しさをバネに、次回の参院選挙につなげてほしい」と話しています。(神奈川県・岡田政彦)


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