2005年10月14日(金)「しんぶん赤旗」

郵政民営化

米国の介入 これが実態

参院郵政特 大門議員の質問

米下院議事録

“日本市場への侵入を拡大”


 郵便局を利用する国民は誰も望んでいないのに、なぜ小泉政権は郵政民営化に突き進むのか―。十三日の参院郵政民営化特別委員会で、日本共産党の大門実紀史議員は、郵政民営化の背後にアメリカの執ような画策があることを示す、動かぬ証拠を突きつけました。


■政府 言い訳覆す証言

 大門議員は、今年九月二十八日のアメリカ下院・歳入委員会「日米経済・貿易に関する公聴会」の議事録(別掲)を示しました。

 この公聴会が開かれるのは七年ぶり。日本の郵政民営化がいよいよ現実のものになろうとするこのタイミングで、民営化の過程にどうアメリカの要求を入れさせるか、議会として入念な点検をしたものです。

 そこでアメリカ通商代表部(日本担当)のウェンディ・カトラー代表補は、郵政民営化でアメリカ保険業界の利益を確保するという意図をあけすけに語った上で、「日本でこの課題(郵政民営化)に取り組む重要人物たち(key players)」と週に一回、アメリカ側が会合をもっているという重大な事実を証言しました。しかも、日本の協力者は生命保険会社などの財界・大企業だけでなく、政府の中にもいると言います。

 郵政民営化はアメリカの金融資本のため、政府の民営化法案にはアメリカの要求が直接、間接にもりこまれているという事実を、日本共産党はさきの通常国会から繰り返し追及してきました。

 政府は、「米国の要望に意を払ったということはない」(竹中平蔵郵政民営化担当相)と否定してきましたが、日本が何の要望も受け入れないのに、毎週一回の会合が繰り返されたなどということは考えられません。アメリカ政府の担当者の議会証言は政府の言い訳を覆す、重い意味をもちます。

■小泉首相は調査も拒否

 大門氏 この課題にとりくむ重要人物たち(キー・プレイヤーズ)とはだれか。

 竹中担当相 (議事録を)いま初めて見ましたが、よくわかりません。

 米国政府高官の議会証言をかかげた大門議員の追及に、竹中担当相は「しらないことですから、答える資格がありませんわかりません」とくりかえすばかりです。

 竹中氏が所管する郵政民営化準備室は、昨年四月以降、十八回にわたってアメリカ政府・業界関係者との会合をくりかえしてきたということが、すでに明らかになっています。しかし、米議会証言は、「毎週一回の会合」を明言しました。米国の介入は、従来いわれていたようななまやさしいものではなかったということです。

 小泉首相は、事実経過についての調査を求めた大門議員にたいして、「なぜしらべるんですか。アメリカが郵政民営化に関心をもっているのはいいことだ」と答えました。大門氏は「前国会で指摘したようにアメリカ側は公式文書で『日本に要求をのませた』と自慢している。今回の民営化に日米の金融業界とアメリカ政府の強い要求が込められているのは明らかだ」と厳しく指摘しました。

■重要法改正米の要求で

 「郵政だけではない。この十年間、アメリカの要求がことごとく日本の法改正で実現している」と大門氏はパネル(図)を示してたたみかけました。

グラフ

 人材派遣の自由化、大店法の廃止、労働法制の改悪…国民生活に直接かかわる法改悪がアメリカの要求でいくつも行われてきています。

 大門氏は「異常なのは日米間で政策決定のシステムができあがっていることだ」と根底に異常な仕組みがあることを批判。アメリカは一九九四年から毎年、日本に「年次改革要望書」を提出して規制緩和と市場開放を迫り、実現した成果を国内の報告書で自慢しているのです。グレン・フクシマ元米国通商代表部部長は「アメリカの要求をのませるための仕組みだ」と語っています。

 小泉首相は「異常でも何でもない。対話が大事ですから」と答えました。


■米通商代表部代表補の発言

 米下院歳入委員会「日米の経済・貿易関係」に関する公聴会(05年9月28日)でのウェンディー・カトラー米通商代表部(USTR)代表補の発言(議事録から抜粋)

 (簡易保険の民営化のさいにアメリカの保険業界が利益をうるために)…われわれが与えることのできる保障は、政権上層部において業界とスクラムを組み、長年かけてやってきた日本市場への侵入を維持し、日本の生命保険と損害保険の市場におけるわれわれのプレゼンスが引き続き拡大するよう確保することだ。これは政権にとって、最重要課題である。米通商代表部ばかりがこの課題に最大の関心を寄せているのではない。私はホワイトハウス、財務省、国務省の同僚と緊密に協力している。

 ◇週1回の会合

 われわれの大使館は、日本でこの課題に取り組む重要人物たち(key players)と週1回の会合を開催している。そのようにして、われわれは最高の優先順位をつけ、保険業界と協力するために、われわれにできるあらゆることをおこなっている。また、最近保険の分野において、われわれは日本での同盟者を得て、彼らと協力しながら日本においてもわれわれの立場にたいする国内的な支持を得られるよう努めている。それは大変有益だ。

 ◇日本政府の中に「共鳴者」

 (「日本の同盟者はだれか」という質問に)彼らは日本の企業集団だ。われわれの立場を支持している日本の生命保険会社だ。…そして、率直に言うなら、日本政府の中にわれわれの立場に大変、共鳴する人がたくさんいる。


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