2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」

地方議員選挙 日本共産党が前進


■合併選 岩手・一関で占有率1.6倍

■国保税引き上げ反対

■元無所属議員らが応援

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 七市町村が合併した岩手県新「一関市」の市議選(九日投票)で、日本共産党は六選挙区に前職七氏を擁立し、定数大幅削減のもとで六氏の当選を勝ち取りました。議席占有率を8・87%から14・63%に1・6倍化し、強力な市議団が誕生しました。

 「合併で定数が減ってしまったが、候補者の中でただ一人農業をし、町議を八期務めた鈴木さんを当選させたかった」。旧東山町区(定数三、十一減)で、初めて日本共産党の鈴木英一さん(63)を応援した元無所属町議の三沢巴(ともえ)さん(72)は、そう語ります。

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(写真)支持者らとともに当選を喜ぶ鈴木さん(左から2人目)=9日、岩手県一関市東山町

 鈴木さんは二人はみ出しの激戦を制し、三位で当選。前回比で三・二八倍、この九月の衆院比例比で三・八七倍の千二百五十七票(得票率23・09%)を獲得しました。

 三沢さんの地域は前回まで二人の議員がいましたが、今回は候補者が出ませんでした。三沢さんは投票日の三日前、農家の人たちを集めた個人演説会を二カ所で設定し、「話をしに来てほしい」と鈴木さんに声をかけてきました。これが、鈴木さんを当選に押し上げる大きな力になりました。

■争点

 市議選では新市の三役と議員の報酬引き上げ、旧六町村に置く常勤の地域自治区長、合併による国保税の引き上げが争点に。新市の市長報酬が旧一関市と比べて四万円以上アップし、地域自治区長に二年半で報酬と退職金で二億円も支払われる問題は、市民の大きな怒りを呼びました。

 党は三役・議員報酬の引き上げ反対、地域自治区長の非常勤化と、国保税の引き上げ反対を主張し、共感を広げました。

 当選後に鈴木さんの事務所に駆けつけた五十八歳の男性会社員は「くらしを少しでも良くしたいと願う町民が応援をしてくれた」と喜びをかみしめるように話しました。

 旧千厩町区(定数四、十二減)では、日本共産党町議団(三人)の団長だった藤野秋男さん(51)が二位で当選しました。千四百五十七票(得票率16・89%)を獲得し、九月の衆院比例比で二・一六倍に前進しました。

 今回、二人の元無所属町議が藤野さんの支援に回り、町議を四期務めた千葉清一さん(75)は「財政が大変だからと合併したのに、三役や議員の報酬をお手盛りで上げるのはおかしい」と第一声の応援演説で訴えました。

 千葉さんは言います。「国保税引き上げ(一人当たり一万円)に反対など政策をはっきり訴えたのは秋男さんだけだ。それが支持されたのでは」

■注目

 日本共産党は旧一関市区(定数十八、十減)で駅東口の新たな十三億円の取り付け道路の中止、放置してきた危険校舎の改築・改修などを訴え、二議席を確保。旧花泉町区(定数五)、旧大東町区(同六)でも議席を守り抜きました。

 また議席に届かなかった旧川崎村区(同二)では、衆院比例比で三・八八倍を獲得し、善戦・健闘をしました。

 「素晴らしい成績で喜んでいる。これから責任も重大になると思う」(千葉さん)。党市議団の今後の活動に市民は注目しています。(岩手県・三国大助)

    ◇

 岩手県一関市議選の結果は次の通りです。(41―64)

 (1市4町2村合併、7選挙区)

 【旧一関市区】18―20

     (定数10減)

 当高田  一郎46前

       一九〇七(5)

 当大野 ひさし57前

       一八八六(6)

 【旧花泉町区】5―10

     (定数15減)

 当石山   健61前

       一一一四(5)

 【旧大東町区】6―13

     (定数10減)

 当菊地よしたか51前

        九八三(6)

 【旧千厩町区】4―7

     (定数12減)

 当藤野 あきお51前

       一四五七(2)

 【旧東山町区】3―5

     (定数11減)

 当鈴木  英一63前

       一二五七(3)

 【旧川崎村区】2―3

     (定数14減)

  佐藤としあき46前

        七〇〇(3)

 ▽共6(11)公1(1)社民1(1)無33(111)定数83減、議席占有率14・63%(8・87%)(投票率75・99%)

■京都・長岡京で6氏全員

■水道料金の値下げなど

■2.7軒に1カ所で宣伝

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 定数二十六に三十人が立候補する大激戦となった京都府長岡京市議選で、日本共産党は、現職の藤本秀延、浜野利夫、瀬川光子、武山彩子、新人の野坂京子、小原明大の各氏が全員当選し、総選挙比例票の一・一二倍を獲得して五議席から六議席に前進しました。十日付『京都新聞』が「共産党は退潮傾向に歯止めをかけ、盛り返した」と報じるなど、市民の切実な声にこたえた政策と奮闘で総選挙後の前進の一歩を築きました。

 市議選は、政党公認候補が半数近くを占め、各党がいっせい地方選挙など、総選挙後の「消長のかかった選挙」と位置づける激しい選挙戦を展開しました。同時に、特別国会で巨大与党が暴走を始めるもと、生活や将来への不安の声が寄せられるなかでの選挙でした。

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(写真)全員当選を決め、支援者とバンザイを繰り返す(右から)小原、野坂、武山、瀬川、浜野、藤本の各氏ら=9日深夜、京都・長岡京市

■切実

 日本共産党は、国政での「確かな野党」の役割とともに、市政の無駄と暮らし破壊を支える「オール与党」の実態を告発し、党の実績と事前の「市民アンケート」に寄せられた切実な声と要求に基づく「水道料金値下げ」「小学校入学までの医療費無料化」「介護保険減免制度の拡充」の三つの政策を中心に暮らしを守る公約を訴えました。

 六候補を先頭に党支部・後援会は、対話・支持拡大や二・七軒に一カ所の割合での音の宣伝など最後まで全有権者に政策を訴えて奮闘。市民から「一日二回三リットルボトル二本の水をスーパーにもらいに行く。水道代だけは何とかしてほしい」「住んでる自治体によって子どもの命の重みが違うなんて許せない」「十月一日からデイサービスが一回三百円から六百円になった。年寄りのことを良くしてほしい」との声が寄せられ、党の政策に共感と支持が広がりました。

 そのなかで、市民の願いに背を向けてきた「オール与党」陣営も、子どもの医療費助成拡充を訴えたり、水道料金値上げに賛成した言い訳を始める候補も出てきました。

 また水問題で事実をゆがめて日本共産党を攻撃した「公明ジャーナル」が投票日前日の深夜から配布されましたが、多くの市民から党地区委員会に「こんなビラ許せない」との声が寄せられる状況もつくりだしました。

■質量

 また一九七四年の結成以来、二市一町の市町議選では負けたことがなかった党乙訓地区委員会(金森亨委員長)は、前回の長岡京市議選で七議席から五議席に後退した結果を受け、市民の願いを実現できる質量ともに強い党の建設に努めてきました。今回の市議選でも大活躍した青年党員は、四年前の二・七倍になり、今回の市議選でも、二十代から五十代の個性あふれる候補者を擁立することができました。

 「この六人の力で市民の暮らしを守る役割をしっかり果たしていきたい」――九日深夜、藤本議員団長は公約実現への決意を力強く語りました。すでに六人の新市議には要望や生活相談が相次いで持ち込まれています。

 十一日は、六人そろって早朝宣伝に立ち、夜は報告集会を開催。乙訓地区委員会は、六人を押し上げた一票一票に心を寄せ、公約実現に全力を尽くすとともに、来春の府知事選やいっせい地方選など、引き続く選挙戦で「必ず躍進・勝利できる党へと成長・発展できるように全力をあげる」と決意し、次のたたかいへと歩を進めています。

     ◇

 京都府長岡京市議選の結果は次の通りです。(26―30)

 当せがわ光子55現

       一一一六(14)

 当たけやま彩子34現

       一一〇四(17)

 当小原 明大28新

       一〇九五(18)

 当野坂 京子48新

       一〇九四(19)

 当はまの 利夫56現

       一〇九〇(20)

 当ふじもと秀延54現

       一〇三九(22)

 ▽共6(5)自民1(0)公4(4)民主2(1)無所属13(16)(投票率55・18%)


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