2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」

主張

在日米軍再編

海外でたたかう態勢づくり


 アメリカのローレス国防副次官が、米上院外交委員会(九月二十九日)で、在日米軍再編問題について証言しています。米軍再編は、日米軍事同盟を根本的に「変革」し、自衛隊の役割を拡大強化するものであり、それができなければ、「重要な同盟能力をなくす」とものべました。

 アメリカの軍事戦略にそって、日米軍事同盟を侵略的に大変質させる狙いをはっきり語っています。

 日米両政府は、十一月にも日米首脳会談を開き、再編協議の中間報告をまとめようとしています。

■自衛隊の役割拡大

 ローレス副次官は、アフガニスタンでの報復戦争やイラク戦争での自衛隊派兵、弾道ミサイル防衛の導入への着手、有事立法制定、海外派兵を柱にした新防衛計画大綱の策定、などを「極めて重要」と評価しています。同時に、「国際的な安全保障に貢献するための日本の能力」や「日本の地球的規模での利益」に比べれば、「変化はまったく控えめだ」と不満を表明。今年二月に日米安全保障協議委員会(2プラス2 外相、防衛庁長官などで構成)で合意した「共通の戦略目標」を達成するために、日米関係を「変革する」といっています。

 小泉政権による海外派兵強行などは、憲法に違反するものです。米政府高官がそれを「重要」だと評価し、さらに拡大するよう迫ること自体、重大な内政干渉です。

 小泉政権は、イラクに派兵した自衛隊を多国籍軍に組みこみ、航空自衛隊に米兵・軍事物資を空輸させ、陸上自衛隊をサマワに駐留させています。イラク全土が戦争状態であることは明白なのに、「自衛隊がいるのは非戦闘地域だ」といってきましたが、宿営地に砲弾が撃ち込まれる事件が相次ぎ、治安も悪化。政府の言い分は、すべて崩れています。

 ローレス副次官は、日本の憲法を無視し、イラクへの自衛隊派兵だけでは「控えめ」だといって、自衛隊の役割拡大を求めているのです。

 「共通戦略目標」は、日米同盟の「死活的に重要な役割」を強調し、地球規模の脅威やアジア太平洋地域の「不透明性や不確実性」に対処するための日米協力拡大をうたいました。日本が米軍とともに先制攻撃戦争をたたかうとの約束表明です。国連憲章にもとづいて紛争を平和的に解決することを求めるアジアと世界の平和の流れに反した議論です。

 ブッシュ政権は、日米同盟関係を米英関係のようにしようとしています。イギリスは、アメリカとともに、先制攻撃戦争をたたかう同盟国です。米政府の対日政策は、この米英関係を日米関係のモデルとしたアーミテージ報告を基礎にしています。そのために、同報告は、「憲法九条が制約」ともいいました。しかし、先制攻撃戦争をすすめる米英同盟は、イラク戦争でみられるように世界で孤立を深めています。

■反対運動の力で

 米政府が強圧的態度をとるのは、小泉首相と与党の自民、公明両党が米軍再編を推進し、民主党もアメリカとの「防衛協力を推進」する態度をとっているからです。しかし、神奈川県座間市や相模原市をはじめ岩国市や沖縄で関係自治体が住民と一体となって再編に反対しており、国民との矛盾が大きくなっています。「九条の会」など憲法九条を守る運動も全国に広がっています。

 平和の基盤を根底から破壊する在日米軍再編に反対する運動をさらに大きくし、日本の平和を守りましょう。


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