2005年10月8日(土)「しんぶん赤旗」

労働安全衛生法「改正」案 どこが問題?


 〈問い〉 今度の労働安全衛生法の改正案は、過労死予防に逆行するということですが、どんな内容か、もう少し詳しく知りたいのですが?(埼玉・一読者)

 〈答え〉 法案は先の通常国会で廃案となり、この特別国会に再提出されたもので、正式名称は「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案」です。労安法、労災法、労働保険徴収法、時短促進臨時措置法の4本の法律を一括して「改正」しようとするものです。

 改正法案の内容は、労働者側が以前から要求していた若干の改善部分はありますが、ご質問の過労死予防に逆行する内容について、述べます。

 まず、「労働時間の短縮の推進に関する臨時措置法の一部改正」ですが、この法律は名称を「労働時間の設定等の改善に関する特別措置法」に変え、時限措置法から恒久法にします。しかし、現行法で閣議決定としている労働時間短縮推進計画(年間総実労働時間1800時間)の閣議決定を廃止し、厚生労働大臣が示す「指針」に格下げします。そして、現行の時短推進委員は「労働者を代表する者」ですが、労使協定さえあれば、労働者の代表としての選出によらないで、過半数組合が推薦し指名した「衛生委員」を労働時間設定改善委員に「見倣(みな)す」こともできることになっています。これでは、1988年に閣議決定した「世界とともに生きる日本」で、年間1800時間への短縮を世界への公約としたことをほごにして、政府責任を投げ捨て「労使に任せる」ことにするものです。

 さらに、労働安全衛生法の一部改正では、省令で事業主は月100時間を超える残業を行った労働者で、疲労の蓄積が認められ、本人が申し出た場合、「医師による面接指導を行う」こととしています。これは、2000年(平成12年)2月に出された「過重労働防止通達」で、月45時間超の場合は産業医の「助言指導」を、2カ月から6カ月間で月平均80時間超の場合には産業医の「面接指導」を受けさせることにしていることから大きな後退となります。このように今回の法改正は、長時間労働や過労死・過労自殺の予防に逆行するものです。(平)

 〔2005・10・8(土)〕


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