2005年9月30日(金)「しんぶん赤旗」

遺骨返還の訴え棄却

日鉄釜石の強制連行訴訟

東京高裁


 戦時中に日本政府の労務動員計画により連行され、日本製鉄(現・新日本製鉄)釜石製鉄所で強制労働させられた朝鮮人労働者の問題で、東京高裁(西田美昭裁判長)は二十九日、原告の請求をすべて棄却した一審判決を支持し、遺族十人の訴えをすべて棄却しました。原告側は上告します。

 訴えたのは、終戦直前に連合国艦隊の艦砲射撃などで死亡した犠牲者の遺族で、遺骨や未払い金返還、死亡通知送付、謝罪と補償などを求めて一九九五年九月に提訴。九七年九月には新日鉄が遺骨問題について和解し、一人当たり二百万円の「慰霊金」を支払い、その後は日本政府と係争していました。

 判決は原告が強く望んだ遺骨返還に対し、「国が遺骨を保有している事実はなく」「埋葬場所等に関する情報を保有している事実も認められない」として棄却。他の請求に対しても法律論のみで退けました。

 しかし、前日の二十八日には日韓両政府の審議官級協議が行われ、日本政府は朝鮮人が徴用された日本企業への遺骨調査依頼の結果を含め、全国に八百六十八人分の遺骨が確認できたことを伝えていました。

 記者会見で原告側の大口昭彦弁護士は「韓国政府の強い遺骨返還の要請に日本政府も対応せざるを得なくなり、決して(問題の解決は)終わってないと認めざるを得ない状況にある」と指摘。「裁判所は正義を示し、問題解決の促進を図る判決を出すべきだ」と批判しました。


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