2005年9月25日(日)「しんぶん赤旗」

歌に兵戈(戦争)は無用です

九条守れ 歌人立つ

発会講演会に250人


 「歌に兵戈(へいか=戦争)は無用です」を合言葉に憲法九条を守る歌人の会(九条歌人の会)の発会講演会が二十四日、東京・学士会館で開かれました。台風接近にもかかわらず二百五十人が参加し、作家の澤地久枝さん、詩人・作家の辻井喬さん、歌人の田井安曇さんの講演に熱心に耳を傾けました。

 「九条の会」呼びかけ人の一人、澤地さんは、中学二年生の相聞歌や新聞投稿欄で感銘をうけたという短歌を数十首紹介。「理屈ぬきの反戦でなく、役に立つ反戦歌はたくさんあり、短歌のもつ証言性を大事にしたい」と発言。「人を殺すくらいなら撃たれ死ぬという子は体操教師に愛されざりき」との短歌も読み上げつつ、「九条歌人の会」ができて、「一緒に手をつなぐ人たちが増えたことはとっても幸せ」とのべました。

 辻井さんは、「しばらく前から日本の詩が危ないところへきている。俳句も短歌も思想性が消えてきている気がしてならない」と前置き。『共産党宣言』にふれて「市場経済原理主義が日本を徘徊(はいかい)している」とのべ、「歌をつくったり詩をつくったりするものは、批判精神を発揮しなければならないのではないか」と問題提起。「憲法九条の問題は、人間が人間らしく生きるためにどうしても守らなければならない問題だと理解している」とのべました。

 「総選挙結果が不愉快でしようがない」という田井さんは、英語で憲法九条を学習した思い出を披露しつつ、今の憲法は簡単に変えることができないとあぐらをかいていてはいけないと警告。「小泉首相は信長が好き」だというが、一六二〇年代に徳川幕府は、「傭兵輸出禁止令や武器輸出禁止令を出している。これをみなさんの宿題にしたい」と聴衆を笑わせつつ、「九条歌人の会」呼びかけ人の一人としての決意も語りました。

 歌人・加藤克巳さんのあいさつ、バイオリニスト・松野迅さんの演奏と語り、ギタリスト・田嶌道生さんと歌人・河路由佳さんの短歌朗読の共演、歌人・杜澤光一郎さんの鈴(れい)と撞木(しゅもく)を使っての和讃(わさん)など、多彩に憲法九条を守ろうの思いを表現。最後に「九条歌人の会」の呼びかけ人が「今度は若い人を会場に連れてくる」「歌壇では画期的な会。大きく広げたい」などの決意表明をしました。


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