2005年9月21日(水)「しんぶん赤旗」

灯油値上げに不安

北海道 家計は限界、増税も心配


 寒冷地のため一年の半分以上はストーブを使う北海道。冬が近づくなか、灯油の値上がりは、道民に大きな不安を与えています。

 原油高騰の影響で、北海道の灯油価格は九月現在、一リットル七十一円(石油情報センター調べ)。昨年の同時期に比べ、約一・三倍、十七円の値上がりです。

 冬は零下三〇度にもなる旭川市に住む伊林秀子さん(55)。土木業も営み、家族六人で暮らしています。お年寄りや赤ちゃんも一緒に住んでいるため、いくつもの部屋を温めなくてはいけません。灯油代は多い月で三万六千円。昨年一冬で二十四万円ほどかかりました。値上がりが続けば三十一万円を超えます。

 伊林さんは「切り詰められるところは全部切り詰めています。旭川は不況が深刻。仕事も減っているうえに灯油代も上がるとやっていけない」と不安の声をもらします。

 札幌市に住む柴田美雪さん(41)は四人家族。ストーブと、真冬に使う融雪機に灯油を使います。昨年は十月から三月まで七万一千円かかりました。「今年は子どもが受験で、お金がかかります。夫は公務員でも給料は年々下がる一方」という柴田さん。寒冷地手当は十六年前までは八月に支給されていましたが、今は十二月から三回分割で支払われるようになりました。

 「家計は限界です。灯油が上がったら十万円を超えます。年金暮らしの友人も悲鳴を上げています。なんとかしてほしい」と語ります。

 夫が中小企業で働く芳賀絹代さん(48)は、豪雪地帯の岩見沢市で暮らしています。ボイラーにも灯油を使うので多い月で二万円。「子どもは夜更かしもするし、朝シャンもする。家計はつらいけど子どもにはなかなか節約を言えなくて」

 灯油代だけでなく、消費税増税なども心配と芳賀さん。「国民が苦しくなる法案ばかり通ってしまうのではと不安です。灯油代が上がらないように対策をお願いしたい」と語りました。

■(北海道・岡田かずさ)


■石油備蓄分の放出など対策を

■紙智子参院議員の話

 特に北海道・東北にとっては冬場にむけ灯油価格対策は待ったなしです。政府は、営業直撃、生活への重大な影響を直視し、ただちに価格高騰を抑えるため石油元売り会社の利益還元と、石油備蓄分の機動的な放出などの対策をとるべきです。


 ▼寒冷地手当 北海道などの寒冷地で冬を越すために必要な燃料費などのために労働者に支給されるもの。道内民間企業の平均支給額は約十万円。しかし、昨年、公務員の寒冷地手当が制度上半減され、それに順じて民間企業の支給額も減らされ、住民生活に追い打ちをかけています。


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