2005年9月20日(火)「しんぶん赤旗」

日朝交渉前進へ意義

6カ国協議の共同声明

02年平壌宣言を国際確認


 第四回六カ国協議の共同声明は「朝鮮民主主義人民共和国および日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることを約束した」と明記しました。

 これは、「日朝平壌宣言」に基づく国交正常化の実現を六カ国協議の目標として国際的に確認したもので、これまで中断してきた日朝交渉を前進させる上で大きな意義を持っています。

 「日朝平壌宣言」(骨子別項)は、二〇〇二年九月に小泉純一郎首相と金正日総書記の両首脳が署名。朝鮮半島に対する日本の植民地支配の問題をはじめ、北朝鮮による日本人拉致や核など当面の諸問題について解決の目標と方向性を示し、国交正常化の実現を最終目標に掲げています。

■交渉はジグザグ

 しかし、その後の日朝交渉はジグザグを繰り返してきました。

 「日朝平壌宣言」に基づいて同年十月に国交正常化交渉が再開したものの、その直前に北朝鮮による核開発計画の存在が発覚。日本政府は日朝首脳会談で一時帰国が実現した拉致被害者五人を北朝鮮に戻さず、その家族の帰国を求める方針を決め、正常化交渉は核、拉致などをめぐって物別れに終わりました。

 〇四年五月には、小泉首相が再訪朝し、金総書記と「日朝平壌宣言」を誠実に履行することを再確認し、拉致被害者の家族の帰国が実現。安否不明の拉致被害者十人についても再調査を行うことで一致しました。

 ところが、その後、北朝鮮側から提出された拉致被害者横田めぐみさんのものとされる「遺骨」について、日本政府は同年十二月、DNA鑑定にもとづいて別人のものだったと発表。そこから交渉は中断していました。

■合意実施の約束

 第四回六カ国協議の閉幕式で佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は、日朝関係の正常化が六カ国協議の最終目標の一つに明記されたことを強調するとともに、今回の合意の着実な実施が日朝間の「約束」になったことを指摘。

 その上で「早期に日朝政府間の対話を再開し、日朝平壌宣言に基づいて、核問題に加え、ミサイル問題、拉致問題等の日朝間の諸懸案を解決し、不幸な過去を清算することで、国交正常化を達するべく、関係各国からの理解と支持を得つつ、引き続き最大限努力していく」と表明しました。

 今回の六カ国協議では、それまで中断されていた日朝協議も数回にわたって開かれました。佐々江局長は閉幕式の発言で、これらの日朝対話が今回の合意を実現する上での「端緒になるものと考えている」と述べています。今後の交渉の行方が注目されます。

■(榎本好孝)


▼日朝関係の経過

【2002年】

9月17日 日朝首脳会談。日朝平壌宣言で合意

10月15日 拉致被害者5人が帰国

10月29日 日朝国交正常化交渉

【2004年】

5月22日 日朝首脳会談。地村さん夫妻と蓮池さん夫妻の家族5人が帰国

7月18日 曽我さんの家族3人帰国

11月9日 日朝実務者協議。北朝鮮側が拉致被害者について、横田めぐみさんの「遺骨」とする骨片などの物証・情報を提示(〜14日)

12月8日 日本政府が、「遺骨」のDNA鑑定の結果、横田めぐみさんとは異なると発表

12月24日 日本政府が、北朝鮮によって提示された物証・情報の精査結果を公表

【2005年】

1月26日 北朝鮮側が反論の「備忘録」を日本側に伝達

2月10日 日本側が「備忘録」への反論文書を北朝鮮側に伝達

2月24日 北朝鮮側が横田めぐみさんの「遺骨」の返還を要求


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