2005年9月17日(土)「しんぶん赤旗」
低所得者に無料住宅
ハリケーン
被害復興で米大統領
【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米大統領は十五日、ハリケーン「カトリーナ」で大被害を出したルイジアナ州ニューオーリンズ市内から全米向けにテレビ演説を行い、被災地の復興と今後の危機管理に連邦政府が責任をもつ姿勢を強調しました。
緊急の被災者支援のほか、政府の援助でアパートなどを用意し、十月半ばまでに被災者全員を避難所から移す方針を示しました。失業者の雇用訓練に一人あたり五千ドル(約五十五万円)を支出、宝くじを財源にして連邦政府の土地に低所得者向け無料住宅を建設することを明らかにしました。被災地域に「人種差別の歴史」にもとづく貧困があったことにも言及しました。
道路などインフラ復旧の大半は連邦財政で行うとしたうえで、洪水対策は「かつてなく強固」にすると表明。復興事業は「世界最大級」になると語りました。
また、「テロや大量破壊兵器」による攻撃を含め、主要都市の危機対策を見直すことが国家安全保障の優先事項だと言明。今回のような規模の災害に対応するには、「連邦政府のより大きな権限と軍のより広範な役割」が必要だと強調しました。
政府の対応の失敗については、自分に責任があると繰り返した上で、全閣僚が参加した包括的検討で教訓を引き出すと述べました。
今回の演説は、被災への対応で指導力を問われ、支持率が過去最低レベルに落ち込んだ中、信頼回復をはかるものです。ただし、危機管理の支柱に据えたのは軍であり、二千億ドル(約二十二兆円)ともいわれる復興事業の財源を示しませんでした。

