2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」
主張
安保政策
転換を求めている内外の現実
総選挙での「自民圧勝」をテコに「外交・安全保障政策」を推進せよという立場から、日本共産党の「外交・安全保障政策、憲法観は、今日の時代の現実にそぐわない」と書いた新聞があります(「読売」十二日付社説)。現実無視の議論です。
小泉外交は、靖国問題でアジア近隣諸国との亀裂を深め、国連安保理常任理事国に名乗りを上げても、支持されません。八方ふさがりです。憲法の平和原則に背を向け、侵略戦争への反省を欠いたまま、米国に追随し、軍事同盟と軍事力強化の道を走ってきたからです。「時代の現実」は、そこからの転換を求めています。
■増大する「痛み」
イラクへの自衛隊派兵は、十二月で二年になります。サマワの陸上自衛隊宿営地への砲撃も増え、いつ犠牲者がでるかわからない危険な状態です。航空自衛隊は、多国籍軍用軍事物資や米軍兵員などの空輸を、二〇〇四年三月以来、三日に一回の割合で実施しています。国民の多くは、日本が平和憲法に反して、米軍の非人道的なイラク人無差別殺りくを後押ししていることに胸を痛め、撤退を求める声をつよめています。
ブッシュ政権は、「イラク戦争の継続」を表明していますが、三十八カ国だった軍隊派遣国は、撤退したり撤退を表明する国があいつぎ、駐留を継続する国は二十カ国になりました。戦争の口実の大量破壊兵器の保有がウソだったことがあきらかになったのですから当然です。自衛隊イラク派兵の延長は、世界の流れに逆行し、国民の願いに反します。
在日米軍再編も、国民に新たな痛みを押し付ける重大問題です。
米軍再編は、日本を、アメリカが世界で先制攻撃戦争をたたかう足場に変えるものです。
沖縄・普天間基地問題で、日本政府と米軍は、辺野古移転がだめでも、嘉手納基地や下地島など沖縄県内でたらい回しすることに固執しています。「負担軽減」を口にしつつ、激痛をたらい回しにするやり方に、沖縄県民の怒りが広がっています。
キャンプ座間に戦争を指揮・命令する司令部を新設する問題では、基地機能の強化と基地恒久化につながると座間市も相模原市も、自治体ぐるみで反対しています。岩国基地に厚木基地の空母艦載機部隊などを移転する問題でも、山口県、広島県の周辺自治体が一致団結して、広域的な反対運動を強めています。
ところが、米政府高官は、小泉自公政権に、「歴史的な好機を利用して…日米同盟を強化する努力」を求めています(「朝日」十二日付)。郵政一本やりの宣伝で得た議席増を、日米同盟強化の機会にせよとのあつかましい要求です。アメリカの要求にそって小泉自公政権が、在日米軍再編などを強権的に進めるなら、国民との矛盾はさらに大きくなります。
■憲法九条生かす道へ
いま世界で必要なのは、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を確立することです。アメリカが勝手に戦争を始め、他国を抑圧するのを放置していては、世界の平和はありません。紛争の平和的解決こそ世界の大道です。その立場を徹底して貫く憲法九条を生かす道を進んでこそ、アジア諸国と平和・友好の関係を広げ、国際平和のために先駆的役割を果たすことができます。
日本共産党は、このような立場から、小泉首相の外交・安保政策を批判し、憲法を守り、生かすことを提起しています。そこに、二十一世紀を平和な世紀にする大きな展望があります。