2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」

人事院規則

運用実態も調べず

国公法弾圧事件 捜査指揮の警視証言


 休日に自宅近くで「しんぶん赤旗」号外などを配布した社会保険庁職員の堀越明男さんが、人事院規則が禁止する政治的行為をしたとして国家公務員法違反の罪に問われている国公法弾圧事件で、公安警察が人事院規則の運用実態を調べず、問い合わせもしなかったことが明らかになりました。東京地裁で十三日にあった第十五回公判に、捜査全体を指揮した警視庁公安部公安総務課の課長補佐(当時)が出廷し、証言しました。

 証言したのは朝原伸太郎警視(58)。堀越さんのビラ配布を捜査し立件することや、公安部からの捜査員派遣などを決め、捜査全体の指揮をとったとされます。

 国公法違反として起訴されたのは一九六七年の猿払事件以来なく、一九八三年に強制捜査がされたものの起訴されなかった事件(東京貯金局事件)があるだけです。朝原証人は、三十五年以上も起訴がないことは「聞いていた」とし、堀越さんのように職場外でビラを配布して国公法違反で起訴されたのは「一件もない」と認めました。

 しかし、同証人は人事院への問い合わせは「やってない」と証言。人事院が、機関紙の配布で政治的行為の禁止を適用するのは「行為の態様に応じ、社会通念に基づき、具体的に判断すべき」(法制局長回答)としているのは「読んでいない」などと、規則運用をまともに調べていないことを明らかにしました。

 この日の公判には捜査の現場指揮をした寺田守孝警部も証人として再出廷。国公法違反と関係ない堀越さんの動向を把握し、リストアップしていたことについて、「私生活(部分)だと打ち切っていたら、その後の行動を把握できず、捜査にならない」「行動確認(尾行)してみなければわからない」などとプライバシー侵害の違法捜査が不可欠との立場を示しました。


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