2005年9月11日(日)「しんぶん赤旗」
米ハリケーン
現地指揮を解任
緊急事態管理庁長官 経歴疑惑も話題に
【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米政権は九日、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)のブラウン長官をハリケーン「カトリーナ」の被災救助・復興活動の指揮から解任し、ワシントンに召還しました。沿岸警備隊のアレン副隊長(中将)が代わって現地指揮にあたります。
連邦政府の対応の遅れや失敗が「カトリーナ」の壊滅的被害を増幅したことから、被災住民だけでなく全米から政権批判が強まっています。とりわけ危機管理の責任を負うブラウン長官には、民主党などから「無能」だとして長官解任の要求が相次いでいます。
九日には『タイム』誌が報じたブラウン氏の経歴の疑惑が話題を集めました。それによると、ホワイトハウスが二〇〇一年に発表した同氏の経歴には、FEMAに入る以前にオクラホマ州エドモンドで緊急事態管理業務を監督したとあるものの、実際には「見習いに近い」役職だったといいます。
危機管理の経験のほとんどないブラウン氏がFEMA長官に就いたのは、ブッシュ大統領との政治的つながりによるものと見られています。ワシントン・ポスト紙九日付によれば、ブラウン氏をはじめFEMAの幹部三人が、二〇〇〇年の大統領選挙でブッシュ選対にかかわっていたとしています。
FEMA本部職員労組のボスナー委員長はABCテレビに対し、「カトリーナ」の直撃を前にして「全職員が(FEMAの)対応は不十分で、長官はそれを認識すべきだと感じていた」と言明。国土安全保障省のもとに再編された以後、職員も予算も訓練も減らされ、対応が緩慢になったとしています。

