2005年9月9日(金)「しんぶん赤旗」

パリ市が原爆展

核保有国の首都主催は初


 「広島六十年後」と題した原爆展がパリで開かれています。広島の平和記念資料館、長崎市などの後援を得てパリ市が市庁舎の展示室でおこなっているもの。核保有国の首都が原爆展を主催したのはパリが初めてです。

 広島、長崎から借りた写真やパネル、被爆した弁当箱や熱で半分が空洞になった仏像などと並び、展示の大きな特徴は絵と原爆を題材にした漫画作品を紹介していることです。

 絵は平和を題材にした小学生の作品と、被爆直後の惨状を記憶にもとづいて描いた生存者の作品が計数十点展示され、フランス語に訳された「はだしのゲン」は原画の展示とともに、自由閲覧が可能。第一巻から順番にくいいるようにして目を通す閲覧者の姿もありました。

 今回の展示は、昨年、左翼連合市政のドラノエ市長(社会党)が広島市を訪れ、開催が決まりました。展示責任者のクリスティアン・ミシェルさんは、核抑止力論が政府の公式方針であり、以前の市政は「展示会の開催など考えもしなかった」と、市長個人のイニシアチブを強調。「記憶はどんどん風化していくので、これに歯止めが必要です」と展示目的を語りました。

 展示会は五日から今月末まで。九月二十一日の国際平和デーには広島の秋葉忠利市長もパリを訪問する予定だといいます。平日の初日から五百人ほどの入場者がありますが、「偶然、市庁舎前の広告を見て」という人が多いようです。

 学生のエミール・デュナンさん(20)もそんな一人。「核問題にはほとんど関心がなかったけれど、ここで知らなかったことを学んだ。このような展示をどんどん世界中でやればいい。今まで考えなかったけれどフランスの核兵器もなくすべきだと思う」と語っていました。(パリ=浅田信幸)


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