2005年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

JR脱線 事故調報告 原因究明にほど遠い

運転士の速度違反なぜ

ATS設置遅れ解明を

遺族が記者会見


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 JR福知山線脱線事故の犠牲者の遺族でつくる「4・25ネットワーク」は六日、尼崎市内で記者会見し「事故の原因究明にはほど遠い」とする声明を発表しました。

 会見には妻と妹を亡くし、娘が重傷を負った浅野弥三一さん(63)=兵庫県宝塚市=、娘を亡くした藤崎光子さん(65)=大阪市城東区=たちが出席しました。

 浅野さんは「今回の報告が事故のメカニズムの分析に至っていないのは残念。事故調査委員会には今後、原因究明の調査をしっかりしてもらいたい」と声をつまらせながら表明。藤崎さんは「事故で心の平安がまったくなくなりました。JRは事故原因を私たちにわかるように説明し、今現在、生活に困窮する遺族の声を聞いてほしい」とのべました。

 遺族の声明は(1)余裕のない運行ダイヤや定時運行の強要と事故の関係(2)福知山線で速度を監視する型のATS(自動列車停止装置)の設置が遅れた理由(3)運転士の人間的・心理的要因(4)生死を分けた要因―の四点を解明するよう求めています。

 この日、遺族はJR西日本本社(大阪市北区)を訪ね、事故発生に関する必要な情報すべての開示、一カ月以内の事故原因についての説明会などを申し入れました。

■JR福知山線脱線事故

 JR西日本の宝塚発同志社前行き快速電車(七両編成)が、四月二十五日午前九時十八分ごろ、兵庫県尼崎市の塚口―尼崎間の右カーブ(半径三百メートル)で横転脱線し、一、二両目が線路脇のマンションに激突しました。乗客百六人と運転士一人が死亡、負傷者は五百五十五人。死者数では戦後四番目の事故となりました。


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