2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」

「食料を 水を」 ハリケーン被災地深刻


■米ニューオーリンズ

 【ワシントン=山崎伸治】米国南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」による被害は時間がたつにつれ、大きくなっています。被災地では衛生状態が極度に悪化。食料、水、医薬品も不足し、被災者はいら立ちを募らせています。

 被災から三日たった一日も市内の80%が冠水したままのルイジアナ州ニューオーリンズ市では、正確な死者数は把握されていません。

 数千人が死亡したとの推計もあり、自然災害としては一九○六年のサンフランシスコ大地震(最大六千人)に匹敵する米史上最悪の規模に達する恐れも出てきました。

 ニューオーリンズ市内に取り残されている住民は五万―十万人に達するもようです。市内のコンベンション・センターには、数千人の被災者が集まり、「二日も何も食べていない」「子どものミルクがない」と口々にテレビカメラに訴え、食料や水の到着を待っています。

 ネーギン市長は同日、CNNテレビで「絶望的SOS」と語り、「物資は全くない」と支援を呼びかけました。

 避難所のコンベンション・センターやスーパードームは停電と断水でトイレも使えず、被災者はゴミや排せつ物のなかでの避難生活となっています。医薬品もない避難所では、持病の悪化や衰弱で死亡する人も出ていますが、遺体は放置されたままです。

 市内では略奪がはびこり、暴力や発砲、レイプも起きています。

 米国防総省は一日、警備にあたる州兵を他の州から増員。ルイジアナ州のブランコ知事は州兵に、無法集団への射殺許可を与えました。

 今回の災害をめぐっては、人災であるとして、水害との緩衝地帯としての湿地帯消失などをあげるメディア論評も出ています。


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