2005年8月30日(火)「しんぶん赤旗」

イラク米軍 ジャーナリスト殺害

負傷のカメラマン1人拘束

開戦後66人死亡 ベトナム戦争時上回る


 イラクの首都バグダッドで二十八日、車で取材に向かっていたロイターテレビのイラク人音声担当クルー、ワリード・ハレド氏(35)が米軍の銃撃で殺害されました。負傷した同行のイラク人カメラマン、ハイダー・ハデム氏(24)は、事件後十二時間たっても米軍に拘束されたままです。イラク内務省当局者が確認しました。

 ロイター通信社の編集総局長は、ハデム氏の「即時釈放を要求する」との声明を発表しました。

 同通信によるとテレビの取材クルーは、地元警察から通報を受け、バグダッド西部ハイアルアディル地域で発生した警察官二人の殺害事件を確認するため、現地に向かっていました。

 殺されたワリード・ハレド氏は、顔に一発、胸には少なくとも四発の銃弾を受けていました。

 背中を撃たれて負傷したハデム氏は、「銃撃音を聞いたので前方を見たら、ショッピングセンターの屋根の上に米軍の狙撃兵がいるのを見た」と現場で同僚たちに語りました。

 米軍スポークスマンは、負傷したカメラマンの拘束理由については明らかにしていません。

 銃撃事件発生から数分後に現場にかけつけた同僚のイラク人二人は、米軍にしばらく拘束された後、釈放されました。

 この二人は、「われわれは、犬のような扱いを受けた。負傷したカメラマンとわれわれは、水が欲しいといったが、暑い日差しのなかで道路に座らされていた」と語りました。

 パリに本部を置くメディア関係者の人権擁護団体「国境なき記者団」は二十八日、今回の殺害事件で二〇〇三年三月の米英軍のイラクへの侵略戦争開始以来、イラクで死亡したジャーナリストや助手は六十六人に達したと発表しました。

 「国境なき記者団」によると、二十年以上に及び一九七五年に終結したベトナム戦争で死亡したジャーナリストは六十三人です。このため、イラク戦争で死亡したジャーナリストの数は、ベトナム戦争時を上回りました。


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