2005年8月14日(日)「しんぶん赤旗」

事故日航系機 エンジン老朽化

部品を寄せ集め

求められる整備強化


 福岡空港を離陸したJALウェイズDC10型機の事故は、破損した金属片が胴体や燃料タンクなどにあたれば大惨事となっていたかもしれません。同型機はこれまでも、トラブルを起こしていました。エンジントラブルの原因は何か、徹底した追究が求められます。

 DC10型機はダグラス社が開発した旅客機で、一九七〇年に初飛行し、七一年から就航。両翼と垂直尾翼の下部に計三基のエンジンを搭載しています。

 これまで二〇〇〇年九月に、ジャカルタ国際空港を離陸した成田行きの日航機が、左エンジン部品を飛散させました。〇一年六月に、名古屋空港を離陸したバンコク行きの日航機がエンジン部品を落下させた事故とは類似しています。

 今回のDC10型機のトラブルは、エンジン内の内視鏡検査の結果、前面にある羽根状のファンブレードが何らかの原因で破損したか、中ほどのコンプレッサーブレード、後部のタービンブレードが破損して異常燃焼を起こした可能性があります。

 火を噴いた左翼の第一エンジンは、八〇年九月に製造。二〇〇二年七月に別の機体から交換エンジンとして取り付けられています。それ以降、飛行時間は一万七十六時間、総使用時間は六万五百九十九時間となっています。

 日航の整備技術者によると、DC10型機のエンジンは現在製造しておらず、現存するエンジンも老朽化がすすみ、全体的に部品も古くなっています。このため、検査基準をクリアしたパーツを寄せ集めて組みたてても、十基のうち二基ぐらいしか使えないのが実態です。保有するDC10型機五機も来年三月までに売却する予定です。

■大事故になる恐れもあった

 元日航のパイロットで航空事故を調査研究している藤田日出男さんの話 この種のエンジントラブルは結構起きている。直接の事故原因については調査結果を待つとしても、整備を十分に行ってこなかったことが大きい。破片が胴体や燃料タンク、操縦系統にあたったりすれば、大事故になっていたかもしれない。エンジンの重整備では、レントゲンにかけるとか、蛍光探傷液につけて、クラック(ひび)の発生を検査するなどをきちんとやるべきだ。DC10型機はMD11型機についでトラブルが多く、何かと問題の多い機体だ。

■事故調調査官派遣は見送り国交省

 福岡空港を離陸したJALウェイズDC10型機が、エンジンにトラブルを起こして金属片を落下させた事故で、国土交通省は十三日、けが人や機体の損傷状況から、航空法が定める「航空事故」に当たらないと判断。事故に準じる「重大インシデント」にも該当しないとし、同省航空・鉄道事故調査委員会も調査官を見送ることにしました。

 ▼JALウェイズ JALウェイズは日本航空のグループ会社で、一九九○年に設立。福岡―ホノルル間や成田―グアム間など、近距離の国際線を運航しています。従業員数は約二千二百人。


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