2005年8月14日(日)「しんぶん赤旗」

涙ぐみ「10月が怖い」

改悪介護保険法 実施目前

食費・居住費の全額自己負担

自公と民主が賛成


 自民・公明与党と、民主党の賛成で成立した改悪介護保険法で、十月から特別養護老人ホームなど施設の食費と居住費が、保険から外れ全額自己負担になります。在宅の通所介護(デイサービス)などの食費、短期入所(ショートステイ)の食費と居住費も全額自己負担に。お年寄りに年間三千億円の新たな負担が押しつけられます。小泉首相が「改革」の名で進めてきた国民いじめの一環です。(内藤真己子)

■年金を上回る特養ホームも

 「十月が来るのが恐ろしい。支払いが高くなれば週二回のデイサービスを一回にしようか。でもお父さんはデイのお風呂を楽しみにしとるの…」。金沢市の木谷光子さん(79)は、目頭を押さえました。脳こうそくで倒れた夫の義男さん(82)を自宅で介護して足かけ二十年になります。

 元配管工の義男さんは国民年金。介護保険料が天引きされると月三万一千円しかありません。光子さんも国民年金で月四万七千円です。義男さんの介護度は一番重い要介護5。ところが介護保険は週二回のデイサービスと、レンタル電動ベッドしか使っていません。利用料が月一万四千八百円もかかるからです。「支払いが安かったら? そりゃもっと使わしてもらいたい」と光子さん。

 そんな願いとは裏腹に介護保険改悪で、十月からデイサービスの昼食が全額自己負担に。木谷さんが通う市内のデイサービスセンターの場合一食六百円を予定。いまより月二千円以上の負担増になります。「やっぱり回数は減らせんね。食費を詰めるしかないがやね」

 両ひざ関節を痛め人工関節の手術も受けた光子さん。介護ができなくなったときに備え、夫婦で市内の特養ホーム「やすらぎホーム」に入所を申し込んでいます。義男さんの利用料は、社会福祉法人がおこなう負担軽減を受けると現行では月約二万二千円です。ところが十月以降に入所すると、食費と居住費が全額自己負担になるので、国の軽減措置と社会福祉法人の軽減を受けても相部屋で月約三万二千円に。個室(旧型)だと同三万四千円で、義男さんの年金額を上回ってしまいます。

 説明を受けた光子さんはため息をつき涙ぐみました。「医療費も上がったし年金は減るし…。戦争で苦労した年寄りをなぜいじめるがや。近ごろ小泉さんのツラみると憎くなってくる」

 社会福祉法人やすらぎ福祉会の国光哲夫専務理事は語ります。「軽減措置でも利用料が年金額を超える場合があり、このまま十月を迎えるわけにはいきません。救済措置と減免措置の拡大を求めていきたい。それに介護報酬の切り下げでやすらぎホームも年間千七百万円の減収。赤字転落は必至です。推進した自民、公明与党と民主党に総選挙では審判を下さないと」


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