2005年8月10日(水)「しんぶん赤旗」

世界で「ノーモア広島・長崎」

核兵器廃絶求め集会・デモ


 広島、長崎の被爆六十年を迎え、核兵器廃絶を訴える行動が世界各地で続いています。

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(写真)核兵器の研究に抗議する人たち絞6日、ロスアラモス(浜谷浩司撮影)

■米国/原爆開発の地で抗議 被爆者訴え、広島市長は書簡

 【ロスアラモス(米ニューメキシコ州)=浜谷浩司】原爆開発の地、米国立核兵器研究所のあるロスアラモスで六日、核兵器廃絶を求める集会が開かれました。日本から参加した二人の被爆者が訴え、ロスアラモス郡議会にあてた秋葉忠利・広島市長の書簡が同議会議長に手渡されました。

 早朝のデモから講演、討論会、日没後の灯ろう流しまで、州内各地から集まった数百人が参加。六十年前、原爆を開発した「マンハッタン計画」を進めた建物近くの池の周りに、反核の象徴ヒマワリの花を並べました。

 地元の反核団体「ロスアラモス研究グループ」、カトリック系平和団体「パックス・クリスティ」「ベトナム復員兵平和の会」などが呼びかけた行動です。

 「研究グループ」のグレッグ・メロ代表は、国立核兵器研究所が新型核兵器向けに核兵器の起爆装置であるピットの生産に踏み出そうとしていることを指摘し、「新型核兵器阻止の先頭に立とう」と呼びかけました。

 広島の被爆者、上田紘治さん(63)は、日本原水爆被害者団体協議会が会の設立にあたって、人類は二度と被爆者の苦難を繰り返してはならないと呼びかけたことを指摘。「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキの誓いが真に人類の思想となることが、今日の危機の出口にもなる」と訴えました。

 長崎の被爆者、橋田昌子さん(75)は、学徒動員中の三菱兵器製作所で、「赤、青、黄、紫の光」が迫ってきて気を失ったことや、逃げる途中で見た変わり果てた街のありさまを証言。「アメリカの人々が核兵器廃絶に立ち上がるよう訴えにきた」と述べて、拍手に包まれました。

 秋葉市長は書簡で、核兵器による都市の破壊を違法化することや、「大量破壊兵器の使用と貯蔵を不可能にすること」を訴えました。また、「倫理、有用性、法」のすべての面で核兵器を拒否することを要請し、郡議会議員を広島市に招待しました。

 郡議会への伝達式にはフランシス・バーティング郡議会議長が参加。秋葉市長の書簡と被爆者の訴え、さらに、核保有国による核兵器廃絶への「明確な約束」を再確認したサンタフェ市議会の決議を受け取りました。バーティング議長は書簡を郡議会で取り上げるとし、核廃絶に支持を表明しました。

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(写真)6日、ニューデリーで開かれた平和の集い(小玉純一撮影)

■インド/反戦詩朗読や音楽に耳傾ける

 【ニューデリー=小玉純一】インド核軍縮平和連合(CNDP)は六日夜、ニューデリーで、「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」を掲げて集会を開きました。若い世代を中心に約二千人が集まり、俳優による反戦詩の朗読や反戦音楽家の演奏に聞き入りました。

 デリー大学の男子学生コナールさんは、「きょうのような日に多くの人が集まる必要がある。広島で起きたことを考えなくては」と話しました。

 CNDPの活動家カマル・アガさんは「CNDPはこの一カ月、首都圏の高校・大学四十校でヒロシマ・キャンペーンをやってきた。校長に手紙を書き、時間をもらって学生たちに被爆フィルムを見せ、討論した。約七千人の学生がフィルムを見、討論では『米国はなぜ原爆を落としたのか』『国連は止めなかったのか』といった質問が出た。CNDPとしてはかつてない取り組みだ」と語りました。

 CNDPはこの日、インド時間午前十一時に全国で一分間の黙とうをよびかけ、首都圏の私立学校やムンバイのキリスト教系学校などで取り組まれました。

 東部コルカタでは米国の核政策を批判するデモが行われました。

 インドの平和・民主運動二百団体を結集するCNDPは、一九九八年インド・パキスタン両国の核兵器実験に抗議する運動のなかから二〇〇〇年十一月に結成されました。

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(写真)6日、ロンドン市内で行われた被爆60年の集会(西尾正哉撮影)

■英国/原爆許すまじ日本語で歌う

 【ロンドン=西尾正哉】六日、ロンドンで英核軍縮運動(CND)などが広島、長崎の被爆六十年を記念した式典を開催し、三百人が参加しました。

 会場は、ロンドン市内中心部のタビストック・スクエア。非暴力の変革を唱えたインドのガンジー像やヒバクシャを記念して植樹された桜の木がある“平和公園”です。七月七日の同時テロではこの近くで市バスが爆破され、多数の死傷者が出ました。

 CNDのケート・ハドソン議長はあいさつで、「原爆投下六十年にあたって、核兵器の恐ろしさを人々が理解することが大事だ」と指摘。「原爆投下が必要だったとする米国の主張は虚偽だ。原爆は外交の切り札として使われた」と原爆投下を正当化する米国の姿勢を批判しました。

 式典では、ボランティアのコーラスグループが「原爆を許すまじ」「明日への伝言」などを日本語の歌詞で歌い、大きな拍手をうけました。コーラスに参加したローズさんは、「六十年前に広島で起きた恐ろしい出来事を思い起こすことはいまも非常に重要です。不幸にもいまも米英政府などは核兵器を持ちつづけ、他国には持たないようにする偽善的な政策を取りつづけています。核兵器は廃絶以外にありません」と語りました。


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