2005年8月7日(日)「しんぶん赤旗」

主張

郵政委員会可決

本会議で否決に追い込もう


 郵政民営化法案が、自民、公明の賛成多数で参院の特別委員会を通過しました。しかし、まだ八日の本会議があります。

 衆参の審議を通じて、法案は「百害あって一利なし」であることが、ますます明らかになりました。

 郵政三事業、郵便局網がずたずたになる。国民の資産である郵貯・簡保資金の三百四十兆円が日米の金融業界の大もうけに利用される―。

■金融弱者の排除が

 法案によると、郵政事業を「郵便」「貯金」「保険」「郵便局」の四つの株式会社に分割。貯金株と保険株は、一定期間内に市場で売却するなど完全処分します。郵貯、簡保は単なる民間の銀行・保険会社に変質させられることになります。

 民営化後のサービスがどうなるか、竹中郵政民営化担当相の答弁によると、結局は、経営者の「経営判断」に任されます。経営者は「最終的には資本の論理と誘惑に勝てない」と郵政公社の生田総裁も語っています。営利優先の経営になれば、もうからない事業から手を引くことは目に見えています。

 まさに、住民のくらしを支えてきた郵便局が存立の危機に立たされることになります。だからこそ、四十七の都道府県議会をはじめ、九割を超える地方議会が民営化反対や慎重審議を求める意見書を議決しました。参考人質疑、地方公聴会でも批判や懸念の声が相次ぎました。

 小泉首相は委員会審議の最終盤になって、郵便局網を「国民の資産として守って、万が一にも国民の利便に支障が生じないようにしていきたい」と言い始めました。口先だけでは郵便局網は守れません。郵便局は国民の大事な資産だと本気で考えるなら、民営化法案を撤回するほかありません。

 米英では銀行が小口の預金に口座維持手数料をかけ、低所得者が貯蓄・決済口座をもてないという「金融排除」が社会問題になっています。

 かろうじて日本の銀行が一般預金に口座維持手数料をかけてこなかったのは、郵貯の存在が歯止めになってきたからです。郵貯が民間並みになれば、大銀行を先頭に、普通預金でも残高が少なければ口座を維持するだけで手数料を取るようになり、郵貯もそれに続く恐れがあります。たとえ郵便局が残ったとしても金融弱者の排除が発生します。

 そもそも、郵政民営化を積極的に求めてきたのは国民ではなく、日米の金融業界、日本の財界とアメリカ政府です。孤立を深める小泉内閣に、熱いエールを送っているのもこれらの勢力です。

■弱肉強食の政治

 七月十九日、来日したアメリカのパウエル前国務長官が首相との会談で「郵政民営化法案の成立に向けた日本政府の努力を評価している」。

 七月二十日には、財界関係者が小泉首相を招いて郵政民営化の意義を訴えるシンポジウムを開催。財界トップら約八百人が参加しました。日本経団連会長の奥田碩トヨタ自動車会長が「経済界として最大限の力で支援したい」と激励しています。

 その場で首相は、就任以来「外資倍増論」をとなえてきたことを紹介し、貯金、保険株の完全処分に当たっては「外国企業、外資が全然見向きもしないような民営化で果たしていいのか」と、外資による買収に期待を表明しました。

 郵政民営化法案は、小泉・竹中路線が進めてきた弱肉強食の政治、アメリカと財界に奉仕する政治の典型です。参院本会議で否決し、廃案に追い込むしかありません。


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