2005年8月4日(木)「しんぶん赤旗」
大手補償コンサルタント
中央建鉄 甘利予算委員長に資金
パーティー券300万円
業務受注狙い政界工作
公共工事などによる被害の補償額算定をおこなう補償コンサルタント業界の大手企業が、業務受注をめざし、自民党の甘利明衆院予算委員長ら中央・地方の政界関係者に資金提供や社員派遣、飲食接待などをおこなった――。こんな実態が民事訴訟に提出された証拠や関係者の話などでわかりました。
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この会社は中央建鉄(東京・新宿区)。公共工事の元請けゼネコンや、国や都などから補償コンサルタント業務を受注しています。
同社は二〇〇〇年十二月、取締役の義務に反して会社に損害を与えたとして元社長などを相手取り損害賠償請求を東京地裁に提訴。同社が提出した証拠書類に政界への支出が記録されていました。
一九九八年五月七日付「仕訳伝票」には、甘利氏の政治団体が開いた政治資金パーティー「甘利明君を囲む会」に「寄付金」として百万円を支出したと記載。九九年九月三十日付の仮払金の「総勘定元帳」にも、甘利氏の秘書が代表を務める政治団体が開いた政治資金パーティー「VisionE21セミナー」に二百万円を支出したとしるしています。
政治資金規正法では、一つの政治資金パーティーで同一の者から二十万円を超える支出を受けた場合、企業名などを公表するよう定めていますが、甘利氏側の政治団体の収支報告書には同社の記載はありませんでした。
他方、元社長は裁判で、甘利氏や宮城県議、元神奈川県議、元福岡市議など複数の現職・元職の地方議員を料亭や高級クラブなどで接待したと陳述しています。
原告が勝訴した東京地裁の判決(昨年一月)では、「領収書がとれない政治献金や政治家・官僚等への接待交際費に使用した」との元社長の主張について、「原告(注・中央建鉄のこと)が積極的に政治家への接待交際を行っていたことが窺(うかが)われる」と認定しています。
また同社の元役員は本紙に、甘利氏は労相に就任した直後の一九九八年夏ごろ、数十万円はするリトグラフ(石版画)などを同社から受けとった、と証言しました。このリトグラフについて、甘利氏の秘書は、本紙の取材を受けて同社に返却しています。
中央建鉄が甘利氏と知り合ったのは、甘利氏が労相に就任する一年ほど前の九七年ごろ。当時、甘利氏は「自民党中心市街地再活性化調査会」の事務総長。九八年七月には「中心市街地活性化法」が施行され、同年度から国は数千億円から一兆円規模の予算をつけています。
前出の元役員は「今後、大きな予算がつく中心市街地関係の情報をもらって、いち早く営業をかけようと思っていた。甘利先生の秘書からは『マル秘』とされた中心市街地関係のリストをいただいたが、具体的な案件についての『口利き』などはなかった」と語っています。
同社については、東京都の公共工事にからむ受注で、公明党前都議の藤井富雄最高顧問に「口利き」を依頼、藤井氏の秘書である長男に「顧問料」を支払っていたことを本紙が報道(〇四年一月八日付)していました。
甘利氏の事務所は、「『囲む会』のパーティー券は、五社で買ってもらったと理解している。一社二十万を超えないので収支報告書に記載しなかった。『VisionE21セミナー』には記憶がない。食事のご招待を受けたことはある。会社には党の部会で配ったような資料ぐらいはあげているかもしれない。それ以上特別にはない」としています。
中央建鉄は「元社長時代の話であり、コメントは差し控えたい」と話しています。


