2005年8月4日(木)「しんぶん赤旗」

原水爆禁止2005年世界大会国際会議分科会から

核廃絶へ世界が連帯


 原水爆禁止2005年世界大会国際会議は3日、分科会をおこないました。参加者は、「核脅迫と力の支配、核兵器廃絶の展望」、「平和の国際秩序と日本国憲法第九条」、「広島・長崎の被爆者、世界の核被害者との連帯」の3つのテーマに分かれ、熱心に討論しました。

■第1分科会

 「核脅迫と力の支配、核兵器廃絶の展望」がテーマの分科会では、地球的規模ですすむ米軍の再編・強化の告発が相次ぐとともに、核兵器廃絶の運動をどうすすめるか活発に意見交換しました。

 日本原水協専門委員の新原昭治さんは、「日本国内での米軍基地の再編強化に反対する運動と原水爆禁止運動がもっと連帯する必要がある」と指摘。ブッシュ米政権の軍事戦略は核戦略と深くかかわっていると強調しました。

 韓国の緑色連合の張在〓(チャン・ジェヒョン※)さんは、在韓米軍の再編統合の実態を報告。山口県の岩国基地や神奈川県のキャンプ座間、横須賀基地、沖縄など日本各地の米軍基地の再編・強化に反対するたたかいが報告されました。

 核兵器廃絶に向けた運動について、婦人国際平和自由連盟のスージー・スナイダーさんは、国際会議でのNGO(非政府組織)の役割が大変重要と強調。国連総会で核軍縮の問題をとりあげさせようと訴えました。

 広島の新日本婦人の会の林紀子さんは、若いお母さんがベビーカーを押しながら「原爆碑めぐり」をする新婦人支部の企画も紹介し、草の根からの運動を広げていこうとのべました。「高校生が長崎の原爆の犠牲者数と同じ七万五千のプルタブを集めて壁画をつくるなど、『世界青年のつどい』に向けとりくみが広がった」(民青同盟)「非核神戸方式を三十年、守ってきた」(兵庫原水協)と発言されました。

■第2分科会

 「平和の国際秩序と日本国憲法第九条」がテーマの分科会では、核兵器廃絶と憲法九条を守る運動の合流について、参加者が次々に発言し、交流しました。

 韓国の男性は、「日本が憲法を変えると不信感は増す」と発言。「韓国は日本の市民との交流を通じて九条を守ることが大事と考えている。どうやって共同で行動できるか一緒に考えたい」とのべ、拍手に包まれました。

 キャンプ座間への米陸軍司令部の移転に反対する運動をしている神奈川・座間市の女性は、自治会ぐるみで署名運動がとりくまれ、短期間で市の人口の約半数六万人の反対署名が集まったと報告。NPT会議の要請団に参加したことにも触れ、「憲法を守り、核兵器をなくす課題とともに、司令部移転反対の運動も広げたい」と話しました。

 「バンクーバーで九条を支援する会が設立された」と紹介したのはカナダのジョン・プライスさん。加藤周一氏を招いた集会には二百五十人が参加したとのべ、「九条を守ることが世界の運動になっています」と話しました。

 ケニアのゴードン・オンディエク・ニャバデさんは、広島市の中学生が作詞した平和の歌「ねがい」が、インターネットを通じて世界三十五カ国に広がっていると紹介。「音楽には力がある。全世界に平和のメッセージを届けたい」と呼びかけ、参加者と日本語で歌いました。

■第3分科会

 「広島・長崎の被爆者、世界の核被害者との連帯」と題した分科会では、二十一人が発言しました。NPT(核不拡散条約)再検討会議でニューヨークを訪れ、署名を集めた経験や、ユーラシア大陸各地で原爆写真展を開いたことなど、各地域の多彩なとりくみが紹介されました。

 被爆者の体験や韓国人被爆者の現状が報告されました。

 愛知県から来た渡辺真紀子さん(24)は、「NPTツアー」に参加し、サンフランシスコの大学を訪れ、授業で被爆者の証言の通訳をしました。「証言を聞き、涙を流している人もいました。学内で核兵器廃絶を求める署名をしていたら、学生も署名に協力してくれました。現地の若者と交流する機会を得られたので、若者のやり方でつながりを深めていきたい」と話しました。

 原爆症認定訴訟を支援するCDをプロデュースした横井久美子さん(61)は、原爆詩人の峠三吉の詩をアメージング・グレースの曲にのせて、英語と日本語で歌い、大きな拍手に包まれました。

 分科会では、「一方的に被爆体験を聞くだけではなく、被爆者と若い世代との対話が必要」「世界中の核被害者が交流できる国際センターをつくってはどうか」などの提案もありました。

※〓、「火+玄」。


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