2005年8月3日(水)「しんぶん赤旗」

米軍基地

ウズベクは提供拒否

キルギス 期限明示求める声も


 ロシア、中国をにらみアフガニスタン対テロ作戦を支援する米軍戦略拠点となっている中央アジア諸国が揺れています。今のところ、正式に米軍基地供与中止を決めたのはウズベキスタンだけですが、キルギスでも政権内に米軍撤退の期限を求める声が根強く残っています。

 米軍撤退要求がはっきりと打ち出されたのは七月五日にカザフスタンで開催された上海協力機構(SCO)の首脳会議。中ロと中央アジア四カ国で構成するSCOは共同宣言でアフガンの政治・社会状況が改善したとして、「アフガン作戦に参加する諸国はSCO諸国での軍事施設の使用期限を定めるべきだ」と米軍の撤退を要求しました。

 米国は二〇〇一年の同時多発テロを機会に、対テロ作戦に支持を表明した中央アジアのキルギスとウズベキスタンの基地を使用。他国も空港の使用などを許可してきました。

 SCOの宣言に驚いた米国は猛烈な巻き返しを開始。ラムズフェルド国防長官が七月二十五、二十六日とタジキスタン、キルギスを歴訪。両国に米軍駐留継続を約束させました。米国の巻き返しのテコは資金援助です。すでにキルギスにはマナス空港の使用料として五千万ドル、軍事援助を一千万ドル供与、タジキスタンにも千四百万ドルを国境警備などに支援しており、今回、新たに巨額の資金援助の約束があったといわれます。

 しかし、大統領に当選後、早々と米軍の早期撤退を求めたバキエフ・キルギス大統領はラムズフェルド国防長官が去った直後にロシアのイタル・タス通信のインタビューで「中央アジアでのロシアの存在こそが安定と安全の第一の保障だ」と強調。中央アジア専門のインターネット・ニュース論評「ユーロアジア」は「中央アジアの指導者たちは、米軍の中央アジアからの撤退圧力を一時的に弱めたにすぎないと示唆している」と指摘しました。

 一方、ウズベキスタンは七月初旬にSCOの宣言に基づき、外務省声明で「米軍の駐留期限は両国間の議論の対象だ」と米国に対し撤退期限の明示を要求。七月末には米国に基地提供拒否を正式に通知しました。

 米国はバーンズ国務次官補の訪問を中止し、不快感を示しました。米国はウクライナ、キルギス同様の「民主化」をウズベクにも要求しており、同次官補は五月に起きたアンディジャンの暴動の際、キルギスに逃れたウズベク難民への「深い懸念」を表明しました。ウズベクのカリモフ政権は米国流の「民主化」への強い警戒感を示しています。 (片岡正明)


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