2005年7月31日(日)「しんぶん赤旗」
中国、共同文書案を提示
6カ国協議 非核化めぐり表現調整
【北京=菊池敏也】朝鮮半島の核問題をめぐる六カ国協議は三十日午前、首席代表による会合を開きました。会合で議長国の中国は、朝鮮半島非核化を盛り込んだ共同文書採択に向け草案を提示しました。新華社通信は「六カ国は共同文書の起草作業について協議に入った」と伝えました。三十一日から次席代表会合で文案を調整します。
草案には「北朝鮮の核放棄」との目標や原則に関する各国の共通認識を盛り込む方向。(1)朝鮮半島の非核化と核問題の平和的解決(2)北朝鮮の主権尊重と安全の保証(3)北朝鮮と日米などの国交正常化推進(4)北朝鮮へのエネルギー支援―などを中心に調整するといいます。拘束力の強い共同文書が採択されれば、六カ国協議で初めてとなります。
米首席代表のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は三十日、中国が提示した文書案について、「今後の議論の良い基礎となる」と評価しました。米朝両国は同日、六回目の二国間協議を行いました。
米国は核開発の放棄を先行させるべきだと要求し、北朝鮮は安全の保証と経済援助が先だと主張。在韓米軍の核兵器の撤去も求める北朝鮮に対し、米国は韓国に米の核兵器は存在しないとしています。日本代表団の一人は「基本的な見解の違いがまだ残っている」と指摘しました。
これに先立ち二十九日夜、ヒル次官補は「核不拡散条約(NPT)の加盟国であれば、核の平和利用を行う権利があるとの北朝鮮の主張は理解できる」と言明しました。
これについて米国務省のマコーマック報道官は二十九日、ワシントンでの記者会見で、「北朝鮮のいかなる核計画も核兵器開発につながりうる。われわれは北朝鮮が非軍事的な核能力も持つべきではないという考えを明確にしている」と語り、現状では容認できないとの立場を強調しました。
同報道官は、「朝鮮半島非核化」の定義について、「核兵器も、核兵器開発も、それにつながりうる計画もないという意味だ」と述べました。
日本政府は拉致問題を念頭に人権・人道問題の包括的解決を共同文書に盛り込むよう米中と調整しています。