2005年7月28日(木)「しんぶん赤旗」

6カ国協議

基調演説で各国が提案

「朝鮮半島非核化」を明記 共同文書作成へ着手


 【北京=菊池敏也】北京の釣魚台迎賓館で開かれている第四回六カ国協議は二日目の二十七日午前、非公開の全体会合を開き、各国首席代表が基調演説を行いました。中国外務省によると、各国は朝鮮半島非核化の実現という目標と、対話を通じた核問題の平和的解決を確認。各国は同日午後、共同文書の作成に着手しました。米首席代表のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は二十七日、記者団に対し、合意事項を今後数日間で文書化する考えを表明しました。

 基調演説で北朝鮮の金桂冠外務次官は、核放棄の確約を前提に暫定的な「安全の保証」を与えるとした昨年六月の第三回協議での米提案を拒否した上で、「米国の核の脅威が除去され、米朝関係が正常化されれば核をすべて放棄する用意がある」と主張しました。

 一方、米国のヒル次官補は「検証を伴ったすべての核兵器・核計画放棄を条件に、参加国は安全の保証、貿易など経済協力措置を実行する」と提案し、核問題が解決した場合の米朝関係正常化に意欲を示しました。

 ヒル氏はリビア、南アフリカ共和国など核開発を放棄した国に言及し、国際社会の一員となる前提として北朝鮮に核廃棄を要求。北朝鮮のミサイル開発や人権問題も扱うべきだと主張しました。

 北朝鮮は第三回協議での「核凍結」から「核放棄」へ表現を一歩踏み込みましたが、核放棄の先行を求める米国と、見返りの先行を主張する北朝鮮との溝は埋まっていません。

 日本の佐々江賢一郎外務省アジア・大洋州局長は基調演説で、北朝鮮が「ウラン濃縮を含むすべての核計画の完全廃棄」という「戦略的かつ本質的な決断」を求め、核放棄を確約すれば「安全の保証」提供を約束すると表明、韓国による北朝鮮への電力支援提案を歓迎すると述べました。また日本人拉致問題でこう着状態に陥っている事態を打開するため日朝二国間協議に応じるよう呼び掛けました。

 韓国の宋旻淳外交通商次官補は、共同文書の基本枠として「北朝鮮が核廃棄を公約し、他の国々は関係正常化、安全の保証、経済協力を約束する」ことを提案。北朝鮮に電力二百万キロワットを供給するという韓国の「重大な提案」を説明するとともに、各国に対し北朝鮮の「安全の保証」と関係正常化について建設的な姿勢を示すよう要請しました。

 参加国は二十八日に中間的な総括を行う見通しです。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp