2005年7月24日(日)「しんぶん赤旗」
許されない市民標的のテロ
エジプトの紅海に面した保養地シャルムエルシェイクで二十三日起きた爆弾テロで国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとみられる組織が犯行声明をだしました。一般市民を標的にするテロは絶対に許されません。
エジプトでは一九八一年にサダト大統領暗殺事件が起き、これに関与した「イスラム集団」などのイスラム過激派組織が九〇年代にテロを激化させました。九七年十一月には、古代エジプト遺跡で有名な南部のルクソールで「イスラム集団」メンバーが銃を乱射、日本人十人を含む六十二人が殺害されました。今回の事件では死者が少なくとも八十三人に達し、ルクソール事件を上回る惨劇となっています。
「イスラム集団」を率いたアイマン・ザワヒリ容疑者は国際テロ組織アルカイダの首領ビンラディンの副官となっています。
エジプト政府は九七年の銃乱射事件後、過激派取り締まりを強化、一定の効果を挙げたといわれます。しかし、二〇〇四年十月にはシナイ半島のイスラエル国境に近い保養地タバなど三カ所で爆弾テロが発生。イスラエル人観光客など三十四人が死亡しました。この事件はパレスチナ・イスラエル紛争にからんだものだとエジプト政府は述べていました。
今回のテロではアルカイダの犯行にもみられるいくつかの特徴が指摘されています。
一つは、エジプトの警察筋の話として、複数の爆弾がほぼ同時に爆発し、同時テロであったこと。第二に、アフィフィ南シナイ州知事によると、ホテルの爆発は自爆テロの可能性があること。また、使われた爆弾はかなり強力で、三階建てのホテルのフロント部分はほぼ全壊したといいます。
テロが起きた二十三日は五二年にナセル中佐(後の大統領)が率いた自由将校団が王制を打倒した革命記念日にあたります。テロがこの日と何らかの関連がある可能性もあります。また、英国で今月七日の同時爆破テロに続き二十二日にも同時爆破テロが起きているだけに、ロンドンのテロと今回の同時テロに関連がある可能性も指摘されています。(伴安弘)

