2005年7月24日(日)「しんぶん赤旗」

被爆地に科学者集う

核廃絶へ指導者は役割を

パグウォッシュ会議始まる


 核兵器の廃絶を目指して活動する科学者の国際組織「パグウォッシュ会議」第五十五回年次総会が二十三日、被爆六十年を迎える広島市の平和記念公園「国際会議場」で始まりました。参加者は「核廃絶へ、科学の論理を備えた希望あるメッセージを発信しよう」と訴えました。

 日本での開催は一九九五年の広島大会以来十年ぶり。「ヒロシマ・ナガサキから六十年」をテーマに四十カ国百七十人の科学者が二十七日まで議論を深めて「広島宣言」を発表する予定。二十四日は市民との対話や公開討論が開かれます。

 パグウォッシュ会議とは核兵器の脅威を危ぐして発表された「ラッセル・アインシュタイン宣言」(五五年)に賛同する科学者が五七年、カナダのパグウォッシュで開いた会議が発祥。以後、毎年開かれてきました。

 開会式で同会議のスワミナサン会長(79)=インド=は「核拡散、テロの脅威は高まり、核を使ったテロすら現実視されてきた。暴力を平和の文化に置き換えなければならない。人類を核の惨劇から救うには各国政府指導者の力が必要だ」と訴えました。

 大西仁・東北大学理事=日本パグウォッシュ会議代表=は、決裂したNPT(核不拡散条約)再検討会議や米国の新型小型核兵器開発に触れ、「国際情勢は厳しいが、この科学者会議が力強い論理を備えたメッセージを発信し、人々に勇気を与えることを希望する」と呼びかけました。

 河野洋平・衆議院議長が「日本国憲法がラッセル・アインシュタイン宣言に通じることを誇りに思う」とメッセージを寄せたほか、会議創設者で病気欠席したロートブラット氏(96)=英国=、アナン国連事務総長などからも寄せられました。


 ▼パグウォッシュ会議 一九五七年七月、ラッセル・アインシュタイン宣言の呼びかけにこたえて世界十カ国から二十二人の科学者がカナダの漁村パグウォッシュに集まったのがはじまり。今年の五十五回目のパグウォッシュ会議には世界中から集まった科学者ら百七十人が参加。核廃絶や科学と戦争の関係を討議します。


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