2005年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

日歯連事件

自民・吉田前議員に有罪

東京地裁判決 「買収・横領は悪質」


 日本歯科医師連盟(日歯連)をめぐる事件で、業務上横領と公選法違反(買収)の罪に問われた自民党前衆院議員吉田幸弘被告(43)に対し、東京地裁は二十日、懲役三年、執行猶予五年(求刑懲役三年)の有罪判決を言い渡しました。同被告は判決後、控訴しない意向を明らかにしました。

 判決で、河村俊哉裁判長は、業務上横領の罪について、横領した現金(三千万円)は「日歯連の資金であり、その使途は日歯会長選挙の買収資金だった」「日歯の公益目的とかけ離れた用途」と指摘。「被告は被告の資金管理団体に寄付名目で交付された現金をひそかに保管し、重要な役割を果たした」とのべました。

 買収の罪も「選挙の公正を著しく侵害した。(日歯連側の)再選が楽観できないので資金援助するとの申し出を、ちゅうちょなく受け入れた」と指摘しました。

 そして、「一連の犯行は悪質、大胆だが、罪を認め反省している」などとのべ、執行猶予を付けました。

 判決によると、吉田被告は日歯連の臼田貞夫前会長(74)、前常任理事(64)=いずれも有罪確定=と共謀。前会長が立候補した日本歯科医師会長選の買収工作費に充てるため、二○○一年八月、日歯連の資金三千万円を預かって着服し、○二年十一―十二月に前会長側に還流させました。

 ○三年十一月の衆院選では、前常任理事らと共謀し、票取りまとめなどの報酬として、選挙区(愛知3区)の自民党前愛知県議三人、同前名古屋市議二人の計五人=同=に各二百万円の小切手を提供しました。

 吉田被告は一九九六年、愛知3区で新進党から初当選。〇〇年には自民党から比例東海ブロックで再選、○三年に愛知3区に移り、落選しました。

▼解説 「200議員以上に日歯連の金」

 前自民党衆院議員・吉田幸弘被告は、日歯連の臼田貞夫前会長のいわば“お抱え議員”でした。臼田前会長は、会長選挙に勝つため、吉田被告を利用し、同被告も資金欲しさから罪を犯しました。

 吉田被告にたいし、一九九九年にはわずか三十万円だった日歯連からの献金は、その後の三年間で計一億円を超えました。公判では、日歯連側の意向を受け、吉田被告が二○○○―○三年に当時の厚生労働省幹部二人=起訴猶予=を接待し、計百三十五万円を渡したことも判明しました。

 吉田被告の判決で、あらためて指摘しなければならないのは、日歯連マネーを受けた政治家の責任です。自民、公明、民主各党の国会議員二百数十人にばらまかれた日歯連マネーは約十一億円(〇〇年―〇二年)。この金は日歯連執行部の政界工作の一環であり、政界とのパイプづくりを目指したものです。受け取った政治家はきちんと国民に説明する責任があるはずです。


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