2005年7月19日(火)「しんぶん赤旗」

「財政改革」国民に何求める

社会保障抑制 消費税増税前提に

自民・民主


 巨額の財政赤字をめぐって自民党と民主党が「財政改革」案を競うように出しています。両党とも、社会保障費の伸びを抑制する指標の設定や、消費税増税を前提とした歳入増などを検討。赤字のつけは国民負担などに向かっています。(高柳幸雄)

■自民党は…

 自民党の「財政改革研究会」(会長・与謝野馨政務調査会長)は六日、論点整理案をまとめました。

 同研究会は「財政改革の声が政府から聞こえないなかで、党主導でやる」(与謝野氏)ことを掲げ今年二月末に発足。「歳入面では税制が不可欠」(柳沢伯夫政調会長代理)との立場から、党税制調査会関係者もメンバーに入れています。これまでの議論をまとめた論点整理案は、増収策の柱として「消費税を中心とすることが適当」と提起し、将来の消費税率引き上げに踏み込みました。

 歳出面で、「社会保障」「地方財政」「人件費」を見直しの重点項目に掲げています。

 このうち、〇六年度予算編成の焦点となる医療費の抑制策では「早急に、実効的な改革の具体策を取りまとめる必要がある」と強調。高齢化で自然増となる社会保障給付費の伸びを、経済成長率にあわせて抑えようという手法の是非も検討しています。

 この考えは、経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)で奥田碩日本経団連会長ら民間議員が提案しているもので、年金、医療などの給付水準をいっそう低下させることになります。同研究会は九月半ばに策定する「中間取りまとめ」にこの方向を盛り込む方針です。

■民主党は…

 一方、民主党は十四日の「次の内閣」会合で「財政健全化プラン(中間報告)」をまとめました。

 このなかでは、サラリーマン増税の方向を明確にしました。主な歳入増項目として、扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除の廃止などで五兆円の増収を図ることを打ち出したのです。

 政府税調が六月に公表した所得税の各種控除廃止などによるサラリーマン大増税計画と同じ方向です。

 中間報告はまた、必要な財源確保として「税制の抜本改革」を掲げており、「広く、公平に負担を求める」といっそうの増税路線も視野においているのが特徴です。

 社会保障費の抑制で自民党の論点整理案より踏み込んだ提案をしています。「政権獲得後、最初の四年間に取り組む」と位置付けた歳出改革のなかで、「社会保障費の伸び率をGDP(国内総生産)以下に抑制する」「大幅な伸びを抑制するため、一定のメルクマール(指標)を設定する」などとしています。また、年金改革にあわせ「年金目的消費税の創設」を掲げています。


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