2005年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
事件から1週間
ロンドン市民黙とう
この街はテロに負けない
【ロンドン=西尾正哉】五十人以上の死者と約七百人の負傷者を出した七日の同時多発テロから一週間が経過したロンドンでは十四日正午、市民が二分間の黙とうを行い、犠牲者を悼むとともにテロを許さない決意を示しました。
ロンドン市内では正午、ビッグベン(国会議事堂の時計塔)が鐘を打ち鳴らすと、通りを歩く人もオフィスで働く人も一斉に足を止め手を休めて黙とう。いつもは雑踏で騒がしい市内も静まり返りました。
市内を走るすべてのバスも停止し、二分間エンジンを切り、運転手、乗客がともに黙とうしました。地下鉄のキングズクロス駅構内やリバプールストリート駅などテロ現場に近い場所では、人々が足を止め犠牲者を追悼しました。金融街のシティでも株式取引などに従事するトレーダーが黙とうに加わりました。
テロで破壊されたバスの運転手だったサラダキスさんは、テロ現場のタビストックスクエアの近くで声明を読み上げ、「“おまえたちはわれわれを打ち負かすことはできない。われわれをばらばらにすることもできない”とのメッセージをテロリストに送りましょう」と述べました。
ブレア首相は首相官邸で、テロで救出にあたった救急部隊のスタッフとともに黙とう。エリザベス女王はバッキンガム宮殿で、立って静かに頭を下げる姿がテレビに映されました。
市内中心部のトラファルガー広場で黙とうしたリビングストン・ロンドン市長は「この街は先週のテロにも負けませんでした。というのは、私たちはテロリストたちが望んだようにお互いを責めるのではなく、それぞれを支えあったからです」と英BBC放送に語りました。
黙とうにはイスラム教徒の市民も積極的に参加。なかには「私たちの名でテロを行うな」との横断幕をもった女子学生の姿も見られました。

