2005年7月15日(金)「しんぶん赤旗」

スーダンに新憲法

国民統一政府樹立へ

ダルフール紛争も解決の兆し


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 スーダンで九日、国民統一政府を樹立するための新暫定憲法が政府と南部の旧反政府勢力スーダン人民解放運動(SPLM)との間で調印され、第一副大統領にガランSPLM議長が就任。同国の平和と秩序回復への道は新しい段階に達しました。旧反政府勢力、野党各派が参加した国民統一政府も来月九日までに発足する予定です。

 同国南部で二十一年間続き、百五十万人もの死者を出した紛争の発端は、北部のアラブ系住民を主体とする中央政府が一九八三年に、非イスラム圏の南部にもイスラム法を適用したことでした。南部の石油資源をめぐる米国などの戦略も影響して紛争は長期化しました。

■南部に自治政府

 近隣諸国でつくる地域統合組織、政府間開発機構(IGAD)の仲介で九七年から断続的に続いた政府とSPLMの和平交渉は、今年一月九日にケニアのナイロビで「包括和平合意」の調印で決着。以後、新憲法の起草作業が続けられてきました。

 包括合意と新憲法によって、南部にはイスラム法が適用されないことになりました。南部ではSPLMを主体とする自治政府が広範な自治権を保有。六年間の暫定移行期間が終わる二〇一一年までに、独立かスーダン残留かを決める住民投票を行う権利を持ちます。

 (1)南部の石油収入の50%は南部自治政府に帰属、残りの50%は中央政府と北部諸州に分配する(2)国民統一政府の閣僚をバシル大統領の国民会議党(NC)に52%、SPLMに28%、残りを南北諸政党に配分する(3)暫定移行期間は政府軍とSPLM軍が並存する―ことも定められています。

■拒否する勢力も

 ただし、マハディ元首相(ウンマ党党首)ら、和平交渉に参加してこなかった北部の野党政治家は、「NCもSPLMもすべての勢力を代表しているわけではない」と批判しています。和平合意を拒む南部の反政府派司令官もおり、波乱要因が残っています。

 同国西部のもう一つの紛争地ダルフールをめぐっては、ナイジェリアのアブジャでアフリカ連合(AU)の仲介で行われていた和平交渉で、政府と反政府勢力二派が五日、「紛争解決原則宣言」に調印。解決への展望が切り開かれています。

 同宣言は(1)スーダンの統一の尊重(2)民主主義と公正(3)民族、宗教、男女の別にかかわらない万民の平等―をはじめ十七項目からなります。両者は八月二十四日に交渉を再開し、細部の詰めを行います。(夏目雅至)


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