2005年7月14日(木)「しんぶん赤旗」

栃木・大田原市

「つくる会」教科書を採択

全国から抗議殺到


■市区町村で初

 栃木県大田原市教育委員会は十三日、来年度から市立中学校で使用する教科書について侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」(扶桑社版)の歴史・公民教科書の採用を決めました。市区町村立の中学校での「つくる会」教科書採択は全国で初めて。「つくる会」教科書を採択したことに対して、県内外から抗議や要請などの電話、メールが市教委に殺到。子どもと教科書全国ネット21や全日本教職員組合、自由法曹団などが、採択撤回を要求する声明を発表しました。

 五人の教育委員のうち、一人が海外出張中で欠席したもとでの採択でした。この結果、今年十月に同市との合併を控えた黒羽町、湯津上村も含む十二の中学校(合計二千二百人)で同教科書が使われることになります。採択後の記者会見で小沼隆教育長は「学習指導要領にそった適切なもので、県の採択基準にそって決定した」と述べました。

 教委が開催された勤労福祉センターには約五十人の市民らがかけつけ、終了後に小沼教育長らに抗議文を手渡そうとしましたが、同教育長は受け取りを拒否しました。会場で抗議集会を開いた栃木県北部歴史教科書と教育を考える会の槐(さいかち)六男代表は「市民を排した教科書採択は認められない。あきらめず採択やり直しの署名など市民の声をあげていこう」とよびかけました。

■直ちに撤回、採択やり直せ

 俵義文・子どもと教科書全国ネット21事務局長 侵略戦争を美化・正当化する歴史教科書、戦争肯定の考えを植え付ける公民教科書を採択した大田原市教委はきびしく責任を問われます。採択の期限まで十分時間があるにもかかわらず、委員全員がそろわないときに決めてしまうこと自体、子どもの教育を真剣に考えたものではなく、政治的な意図による暴挙といえます。直ちに撤回し、採択をやり直すべきです。

 「つくる会」はこれを弾みにしたいと思っているようです。しかし、採択に反対する集会や要請、宣伝などさまざまな運動が各地で四年前以上に展開されています。今回の暴挙でいままで以上に関心が高まるでしょう。私たちはいっそう活動を広げ地域から「つくる会」教科書ノーの声を広げていきたいと思います。


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