2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」

最低賃金引き上げよ

各地で要請・座り込み計画

生活実態ちゃんと見て!


 パートや派遣など不安定雇用が増大するなか、今年度の最低賃金改定に影響を与える中央最低賃金審議会の目安小委員会が先月二十四日の第一回小委員会に続いて、今月十四日には二回目が開かれ、最賃をめぐる攻防がヤマ場を迎えます。全労連は同日、第三次最賃デーを実施、地域最賃の引き上げと全国一律最賃制の確立を求める運動を広げていきます。(内野健太郎)

 神奈川労連では、最賃の目安が答申される見込みの二十六日に地域最賃の全国平均六百六十五円にちなみ、厚生労働省前で六百六十五分の座り込みを準備しています。二十九日には、神奈川県の最賃審議に合わせ、横浜市役所前で県の最賃にちなんだ七百八分の座り込みをします。

 「大増税や生活保護基準の引き下げを許さないたたかいと結び、ナショナルミニマム(国民生活の最低限度の保障)をつくっていくたたかいとして、公務労働者と共同して千人規模で行動したい」と水谷正人事務局長は力を込めます。

 六月には、中小企業団体や業界団体を回り、最賃引き上げや公契約条例制定の問題で懇談。「同じ認識です」「人材確保のためにも最賃が千円ぐらいにならないと」との声が寄せられました。

■帯広、苫小牧意見書を採択

 千葉労連は「最低賃金の低さや引き上げの必要性を実感してもらおう」と最賃額で実際に生活する最賃生活体験を六月六日から今月五日までとりくみました。体験を報告集にまとめ、中央最賃審議会委員に要請します。最賃体験は「一週間でも二週間でもやってみよう」の呼びかけに、自治労連県職労の組合員ら三十一人が挑戦しました。

 県議会に最賃引き上げと全国一律最賃制を求めて要請。自治体キャラバンも計画しています。

 北海道では、地域での粘り強い運動が実り、帯広、苫小牧の両市で、最賃引き上げの意見書を採択しました。中央最賃審目安小委員会が開かれる十四日、全労連の最賃デーに呼応し、道労働局前で行動します。道の最賃にちなんだ六百三十八分間座り込みます。最賃体験「最賃ヒキアゲルンジャー2」を実施した道労連青年部は、バッジ、ステッカーなどの“最賃グッズ”で参加します。

 京都総評は、「今日の生活水準を満たす最低の生計費」とした最低生計費を試算する「生活実態調査」「手持ち財調査」を実施し、約四百通の回答がありました。青年部は最賃体験をしました。

■テレビで報道大反響を呼ぶ

 「昨年、初めて最賃体験にとりくんだのがテレビで報道され、『ぼくもこのレベルで生活してるで』と大反響を呼びました。青年の間で賃金格差がものすごく広がっていて、最賃への関心は高い」と京都総評青年部担当の永井宏和さん(30)。「げんなり!最賃伝説」とホームページで最賃生活を伝えています。

 「最賃闘争で追い風が吹いている」と各地で意気高くとりくんでいます。

 昨年の地域最賃は、宮城、東京、静岡、愛知の四都県で二円、四十府県で一円のプラスとなり、財界の賃下げ攻撃を全国ではねかえしました。

 厚労省が設置した「最低賃金制度のあり方に関する研究会」では、地域最賃の現行水準が低いことについて、「制度として機能していない」「生活保護基準を下回るなど政策的にありえない」との意見が続出しました。

 今年三月末に出された「最賃制度のあり方に関する研究会報告」は、「最賃水準が生活保護水準より低い場合には、最低生計費の保障という観点から問題であるとともに、就労に対するインセンティブ(誘因)が働かずモラルハザード(規律の喪失)の観点からも問題である」と指摘しました。

 同時に、報告は産業別最賃について、外部から口出しするな、「労使自治によるべき」として、廃止の方向を打ち出しました。最賃より生活保護費が高いから、生活保護制度を改悪するという動きも強まっています。

 全労連や国民春闘共闘委員会は、公務労組連絡会と共同し、十四日の最賃デーの成功をはじめ世論を盛り上げようと連続して行動する構えです。

▼最賃の目安

 厚生労働大臣の諮問を受け、公益委員、労働者委員、使用者委員によって構成される中央最低賃金審議会は毎年、最低賃金額をどのくらい引き上げるかという「改定の目安」を示します。この「目安」を受けて、各都道府県の地方最低賃金審議会が最低賃金額を審議し、都道府県の労働局長に答申し、決定します。


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