2005年7月12日(火)「しんぶん赤旗」

混合診療でシンポ

「実質解禁」許さぬ監視を

保団連


 全国保険医団体連合会は十日、東京・港区でシンポジウム「混合診療の『実質解禁』で日本の医療はどうなるのか」を開きました。全国から医師ら約四百人が参加、公的保険の医療と保険がきかない医療を併用する混合診療に関する昨年十二月の厚労・規制改革両大臣「合意」について議論しました。

 保団連理事の斎藤隆義氏は「合意」について、政府の規制改革・民間開放推進会議の狙う“一定水準以上の医療機関による包括的な混合診療”は阻止できたと評価。一方、新しい医療はいったん保険外とされるため、その後の速やかな保険導入がないと実質的な混合診療の拡大になると指摘し監視の必要性を強調しました。

 歯科医の宇佐美宏保団連副会長は、混合診療に関連して歯科差額徴収制度(一九七六年廃止)を検証。同制度が公的歯科医療費の割合低下や、治療技術の保険導入の遅れを招いたとのべ、「治療技術の早急で適性な評価での保険導入が国民の要求にこたえ『混合診療』の実質解禁を許さない保障だ」と主張しました。

 患者の立場から日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表は、新自由主義による社会保障破壊の医療分野の現れが混合診療だとのべ反対世論を広げようと語りました。

 出河雅彦朝日新聞編集委員は、先進医療について、有効性・安全性が評価されてもスムーズに保険診療の対象にならない可能性があるとのべ、「きちんと見て行かないと所得のない人が医療からはじかれることになる」と警鐘を鳴らしました。

 京都大学医学部付属病院の福島雅典教授は、国民皆保険、診療報酬点数制、フリーアクセス―を柱とした日本の医療制度は、均質な医療を自由に低コストで受けられる世界に冠たる制度と評価。「環境や安全にかかわる規制は緩和してはならない」とのべました。


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