2005年7月8日(金)「しんぶん赤旗」

国家賠償棄却

大臣は会って声聞け

中国「残留孤児」が座り込み


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(写真)不当判決に抗議して全面解決を求めて厚生労働省前に座り込む中国「残留孤児」裁判の原告たち=7日、東京・霞が関

 「四度置き去りにした不当な判決。大臣は私たちの声を聞け」。厚生労働省に響き渡る怒りの唱和。大阪地裁判決から一夜明けた七日、東京、大阪など全国十五地裁で「祖国で人間らしく生きる権利を」と国家賠償訴訟をたたかう中国「残留孤児」と支援者たち二百人は東京・厚生労働省前で抗議の座り込みを行いました。

 「ひきょうで恥ずべき判決」と怒りの声を厚生労働省にぶつけるのは東京地裁に提訴した宇都宮孝良さん(63)。「私たちは中国で想像もできないほどの苦しみを味わってきました。大臣は私たちの声を聞くべきだ」。

 原告と支援者らは、再三にわたって大臣との面会を求めましたが拒否。「大臣と会うまで行動する」と八日も座り込みます。

 「戦争が終わり数十年たってやっと祖国への帰国の道が開けた。あまりにも遅かった。一番若い原告でも六十歳。この事実を見てほしい」というのは清水宏夫さん(68)。東京訴訟の原告団代表です。マイクを握っての訴えは中国語。日本語を習得する機会がなかったためです。言葉の壁で仕事に就くこともできず、生活保護という厳しい生活を余儀なくされました。

 東京・江東区の小宮山和子さん(68)。中国では八人家族のうち両親と兄が終戦間際の戦火で死亡。「弟と妹は行方不明。帰国できたのはきょうだい三人だけ。夫は七十七歳。年老いてこれからどう暮らしていくの」と小宮山さん。敗戦時に国にすてられ、帰国後も冷たい政策によってすてられた「孤児」たち。「いつまで置き去りにするのか」と語りました。

■議員立法求め国会内集会

 同日、全国の裁判の原告になっている「残留孤児」ら約四十人と弁護団は、東京・千代田区の衆院第二議員会館内で各党国会議員に対し、現在の孤児政策を転換し、議員立法を求める院内集会を開きました。各党から国会議員三十一人が参加。日本共産党からは穀田恵二、吉井英勝両衆院議員、井上哲士、小池晃、小林みえこ、仁比聡平、吉川春子各参院議員が出席しました。

 全国原告団代表の松田利男さん(68)は、孤児の現状に理解を求め「私たちを助けてください。問題の解決にご協力いただきたい」と語気を強めました。

 同日、判決について国会で質問した小池氏は、判決が不当ではあるが、孤児の生活実態は看過できないとしていることを示し、「この状況を放置することは政府も国会も許されない。超党派で問題を解決するために私たちも力を尽くしたい」とあいさつしました。


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