2005年7月5日(火)「しんぶん赤旗」
原始太陽系の謎に迫る
「ディープ・インパクト」計画
彗星(すいせい)の核の内部は太陽系ができたころの物質の組成を保っていると考えられています。「ディープ・インパクト」計画は、「テンペル1彗星」の核に、探査機から子機(インパクター)を激突させて、内部から噴出してくる物質の成分を調べ、原始太陽系がどのような物質でできていたのかを探るのがねらいです。
これまでにも探査機が彗星に接近して観測した例はありますが、激突による反応を観測したのは初めて。激突によってクレーターができる過程も初めて観測されました。
テンペル1彗星は長さ十四キロ、幅四キロで縦長のジャガイモ型。太陽の周りを五年半かけて一周しています。
インパクターは洗濯機くらいの大きさで、重さ三百七十キログラム。カメラを搭載し、衝突直前まで画像を映し出しました。衝突速度は秒速約十キロメートルです。
探査機本体には、視野の違う二つのカメラや赤外線分光計などが搭載されており、衝突の様子を至近距離から観測しました。観測データは今後詳細に分析されます。
探査機は、今年一月十三日(日本時間)に打ち上げられ、今月三日にインパクターを切り離しました。衝突時の地球からの距離は約一億三千万キロメートルです。 (中村秀生)
彗星へ「突入」見たかった…
西はりま天文台
![]() 衝突したら彗星がどうなるのかを予想して発表する子どもたち=4日午後7時半、兵庫県立西はりま天文台 |
「ディープ・インパクト」の彗星(すいせい)を大望遠鏡で観察しようと四日夜、兵庫県立西はりま天文台(兵庫県佐用町)に小学生が集まりました。国内最大で公開望遠鏡としては世界一の「なゆた望遠鏡」を使って、衝突したテンペル第1彗星のようすを自分の目で観察する予定でしたが、梅雨の悪天候にはばまれました。
兵庫県家島町立家島小学校五年の児童六十八人は、探査機が写した衝突の瞬間の画像を見たり、「爆発して中からドロドロなものが出てくると思う」「ぶつかったところが粉々になると思う」などと予想しあっていました。


