2005年7月3日(日)「しんぶん赤旗」

吉永小百合さん原爆を歌う

「核兵器の恐ろしさを あきらめずに訴えましょう」

広島


 「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ わたしをかえせ わたしにつながるにんげんをかえせ」(峠三吉「序」から)

 広島市中区・平和記念公園内の「国立広島原爆死没者追悼平和祈念館」で二日、原爆詩を読む女優・吉永小百合さんの凛(りん)とした声が響き渡りました。同館に応募した六百人の被爆者から百人が招待されました。

 吉永さんは「いまだ核廃絶の大きな力が出てこないのが残念でなりません。日本人全員が核兵器の恐ろしさを、あきらめず粘り強く、訴えていきましょう」と語りかけました。

 峠三吉の「序」など十詩を朗読。原爆ドームの対岸にあって、多くの犠牲者を出した市立本川小学校の児童たちと歌「折り鶴」を合唱しました。被爆者の多くはすすり泣き、目頭を押さえながら聞き入っていました。

 吉永さんは原爆にかかわる、映画「愛と死の記録」やテレビドラマ「夢千代日記」への出演をきっかけに、朗読で被爆体験を受け継ぐ取り組みを二十年来行っています。同館によると、朗読で被爆者に元気を出してもらい、被爆者自身が体験を語るきっかけになることを、吉永さんが希望しているといいます。


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