2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」
橋梁談合
道路公団を捜索
3社を告発 現職、OBの関与解明へ
日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事入札をめぐり、談合組織「K会」「A会」加盟各社が談合を繰り返した疑いが強まり、東京高検は二十九日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑の関連先として、道路公団本社と、受注調整を主導していた横河ブリッジ顧問の公団元理事(70)=二十日付で辞職=宅などを家宅捜索しました。日本財界の代表的企業が顔を並べる今回の談合事件は、道路公団本体が深く関与する官製談合事件に発展する可能性が出てきました。
捜索に先立ち、公正取引委員会は同日午前、K会、A会加盟各社の談合で主導的役割を果たした横河ブリッジ、三菱重工業、石川島播磨重工業の三社を同容疑で検事総長に告発しました。
告発は昨年度までの二年間分。
道路公団発注の工事では、各社に天下った公団OBが現職から情報収集していました。その中心にいたのが現職当時、高速道路担当だった公団元理事。元理事は毎年度、三菱重工前橋梁部次長(54)の助言を受け、各社に工事を割り振った配分表を作成していました。
割り振りの結果は、石川島播磨重工前橋梁営業部長の清宮正美被告(49)=同罪で起訴=が、K会、A会の各営業担当者に連絡。各社に再就職した公団OBも別ルートで連絡を受けていました。
談合組織各社にいる道路公団OBの親睦(しんぼく)会「かずら会」の地区幹事(十五人)は、公団各支社などから次年度の発注工事情報などを入手。各社に天下ったOBが受注希望を提出し、代表幹事(一人)を通じて公団元理事に伝えていました。
公団元理事は現職時代、政界との窓口役もつとめており、その役割の解明が重要になっています。
検察当局は今後、数日間をかけ、関係先やメーカーの捜索も順次実施します。
▼解説
今回、公正取引委員会が告発対象とした二年間で、日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事は約千二百億円にのぼります。
公正取引委員会は、過去の入札談合事件で、談合による不当利得の平均値を工事費の18・6%と推計しています。これで計算すると、今回の談合事件の不当利得額は二百億円を超える巨費になります。その原資は公的資金や通行料など国民から出た資金。被害者は国民です。
日本経団連の主要企業を含む橋梁メーカーや公団OBなどが国民を食い物にしてきたという構図です。
談合の中心人物である公団元理事は政界との接点もあります。検察当局は官製談合や政治家の関与について徹底した捜査をすることが求められています。(山本豊彦)

