2005年6月24日(金)「しんぶん赤旗」

日本の無罪判決求める戦争神社

米紙(ニューヨーク・タイムズ)が大々的に論評

世界に広がる「靖国」批判


 【ワシントン=浜谷浩司】米紙ニューヨーク・タイムズ二十二日付は、靖国神社を「日本のために無罪判決を求める戦争神社」(見出し)と特徴付けた記事を、第四面の半ページを使って掲載しました。

 この記事は、靖国神社は、戦前の、中国や韓国などへの日本の侵略、さらには米国に対する攻撃を正当化するものであり、「靖国史観は、ほとんどのアジア人、アメリカ人が受け入れることができない」ものと指摘しています。

 記事によれば、靖国神社は「軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心」であり、「日本と近隣諸国との関係悪化の核心」をなしています。

 記事は、最近では、極右派だけでなく、主流派の政治家やニュース・メディアも、「靖国にまつられた十四人の戦犯に罪はなく、したがって日本はそれほど悪くはなかったのだ」という主張を、よりおおっぴらに表明し、小泉首相の靖国参拝もその流れにある、としています。

 とくに注目されるのは、記事が、米国に対する日本の攻撃の問題を取り上げて、靖国神社が「米国は大恐慌からのがれるために、真珠湾攻撃を日本に強要した」と宣伝していることを、大きく取り上げていることです。

 記事はまた、神社内の戦争博物館で上映されるビデオ「私たちは忘れない」を取り上げ、このビデオは、米国による戦後の占領を「無慈悲」と描き出しているが、日本自身によるアジアの占領には触れていないこと、南京大虐殺についても、この博物館では、中国人司令官を非難し、日本のおかげで「市内では市民が再び平和な生活を送れるようになった」と主張していることも、紹介しています。

 日本の極右暴力集団が、この神社を拠点として活動していることにも、記事は大きく目を向けています。記事の冒頭は、右翼の宣伝カーが靖国神社に集まる異様な状況の描写から始まり、右翼車が列を組んで神社から街に動きだし、彼らの主張に反対する人々や団体に攻撃をむける様子を生き生きと描き出しています。記事は、この極右集団と靖国神社が、戦争の見方でまったく同じ立場、つまりネオ・ナチ的立場にたっていることに、注目したのです。

 ニューヨーク・タイムズのこの記事は、パリで発行され、世界各国で印刷されている国際的英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン二十三日付にも掲載されました。こうして、アメリカをはじめ、世界のマスメディアが、靖国史観への批判を大きく取り上げたのです。


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