2005年6月23日(木)「しんぶん赤旗」
石原強権都政 都議選で大問題に
自・公・民・ネット 大あわて
東京都議選のホットな争点として浮上した、石原慎太郎都知事と浜渦武生副知事による専横・強権的都政運営の問題。何が問題で何が問われているのか、改めてみてみると――。
責任に触れず擁護や同情も オール与党
メディアや都民から批判が噴出し、石原知事べったりの「オール与党」は開き直り、いいわけに大わらわです。
石原知事―浜渦副知事の依頼をうけ、民主党が「やらせ質問」を行った問題で主役の一人ともいえる名取憲彦幹事長は公開討論会(二十日)で、「押すべきことは押しながら、ブレーキをかけることには、ブレーキをかける」とのべました。石原都政と癒着してきた張本人でありながら、「ブレーキ」をアピールするとは都民だましの最たるものです。
自民党も、古賀俊昭都議(日野市)は公開討論会(十六日)で、「石原知事、浜渦副知事の名誉のために弁護したい」とのべ、「石原知事が週二―三日しか都庁に来ていないことは、当選した平成十一年(一九九九年)から分かっていたこと」と擁護。浜渦副知事についても「人材がないなかで、都政改革にとりくみ、知事に代わって一心同体で仕事をしてきた」「出るくぎは打たれるんです」と同情してみせました。
これに対し、日本共産党は「都議会『オール与党』は石原知事の責任に指一本触れない。どんな問題でも正面から石原知事の横暴勝手をただす日本共産党を伸ばすことこそ、都民の手に都政をとりもどす一番の力になる」(志位和夫委員長)と訴え、共感を広げています。
「浜渦問題は石原問題だ」 日本共産党
ことの発端は、石原慎太郎都知事の“側近”といわれた浜渦武生副知事が社会福祉総合学院の運営に関し、対立する政治家や幹部職員を追い落とそうと民主党に「やらせ質問」を依頼したことです。三月十四日の予算特別委員会で実行しました。証人喚問で質問依頼を否定した浜渦氏の証言は、都議会の調査特別委員会(百条委員会)で偽証と認定されました。
しかも、この質問依頼に石原知事が関与していました。知事自身が「最大責任政党の自民党にやってもらったらどうかといった」「どうも自民党が動きそうもない。で、民主党になった」とのべているのです。
その過程で、都議会民主党の名取憲彦幹事長が自民党の内田茂議長に「浜渦副知事から、かなりしつこく予算特別委員会で社会福祉総合学院のことで質問するよう頼まれて困っている」と相談までしていました。
石原知事が、週に二―三日しか登庁せず、側近の浜渦副知事に都政運営がまかされ、異常な強権政治がおこなわれてきたことが、「浜渦問題」の根底に横たわっています。
週に二、三日しか登庁しない石原知事の名代として、側近の浜渦副知事に異常な権限が集中したのです。庁内では、「浜渦氏に面会するには電話ではダメ」と、浜渦氏へ「お手紙」を出すことや、失敗した場合は「わび状」を出す事態も生まれていました。
こんな異常な“側近政治”が横行した責任が、石原知事にあることは明白です。
日本共産党は、石原知事に猛省を求める問責決議案を提出。「浜渦問題とは石原問題」とズバリ本質をつきました。
ところが、自民、公明、民主、生活者ネットが反対し、石原知事問責決議案は、本会議に上程すらされませんでした。
それどころか、自民党は「知事自身が特別職の刷新を英断したことを高く評価する」とほめちぎり、「石原知事を支える与党」(野田和男都議=杉並区=)を宣言。民主党にいたっては、石原知事のみならず、浜渦副知事の問責決議にも反対し、知事、副知事を擁護する先頭に立ったのです。
議会のチェック機能を果たせない「オール与党」か、正面から石原知事の横暴勝手をただす日本共産党か――この問題でも、都議選での対決構図は鮮明になってきています。
癒着にメディアも批判「浜渦問題」をめぐる都議会の姿に、新聞各紙は社説で、「(都議会が)今回の事態について、石原知事の任命責任を厳しく問わないのはどうしたことだろう」(「朝日」七日付)、「石原都政の問題点を遠慮なく指摘しなければ、議会も責任放棄になる」(「日経」六日付)と批判しています。 週刊誌でも、『週刊ダイヤモンド』(十八日号)は、「都議のチェック機能」と題して巻頭言を掲げ、「知事の責任を問うのが当然だ。しかし、自民、公明、民主など都議会各党から知事の責任を追及する声は上がらない」と批判。「共産党を除いたオール与党体制ができてしまっているのだ」と警告しました。 |

