2005年6月21日(火)「しんぶん赤旗」

日韓首脳会談

歴史認識 合意せず

教科書委新設し共同研究


 小泉純一郎首相と韓国の盧武鉉大統領は二十日午後、ソウルの青瓦台(大統領府)で約二時間にわたって首脳会談を行いました。両首脳は、過去の歴史に関する基本認識、小泉首相の靖国神社参拝や日本の歴史教科書問題などで意見交換しました。しかし、盧大統領は会談後の共同発表でこれらの問題について「合意までに達しなかった」と強調しました。


 会談で小泉首相は靖国参拝するかどうかは明言せず、竹島問題は両首脳ともふれませんでした。共同発表によると、両首脳は第二期の歴史共同研究を発足させ、その傘下に教科書委員会を新設することで合意。小泉首相は新たな戦没者追悼施設の建設について「日本の国民世論など諸般の事情を考慮し、検討していく」と述べました。

 また、首相は朝鮮半島出身者の遺骨の調査・返還や在サハリン韓国人、在韓被爆者への支援を「可能な限り行う」と表明しました。

 盧大統領は歴史問題に向き合う意義について「両国の過去の歴史に関する認識をまとめ和解するための措置、過去や未来に対する共通の認識をともにできるための努力が進められてこそ、未来における東北アジアの平和の定着が可能だ」との認識を示しました。

 小泉首相は「韓国国民の過去をめぐる心情を重く受け止めている。日本が過去の問題について反省すべきは反省し、その上で未来に向け率直な対話を行うことが両国の信頼・友好関係の発展強化にとって極めて重要」と述べるにとどまりました。

 日韓シャトル外交の三回目となる今回の首脳会談は、観光地でノーネクタイで行った過去二回とは異なる緊張した雰囲気に包まれました。会談後も報道陣の質問を受け付けず、両首脳が会談の内容を発表するだけの「共同発表」という異例の形となりました。両首脳は年内に、日本で首脳会談を行うことを合意しました。


「戦争誇り、栄光のように展示」

靖国神社について盧大統領

 韓国大統領府の発表によると、盧武鉉大統領は二十日の日韓首脳会談で靖国神社について「過去の戦争を誇り、栄光のように展示していると聞いている」と述べました。

 同大統領は続けて、「(靖国神社は)過去の戦争と戦争英雄(戦犯)を美化し、これを学んだ国が隣りにあり、こうした国が膨大な経済力と軍事力を持っている。(韓国など)その近隣国が過去に何度も苦しめられたことがあるならば、国民は未来を不安に思わざるを得ない」と強い懸念を示しました。

 また韓国の国政広報庁の発表によると、盧大統領は小泉首相に対し、「首相が(靖国)神社参拝についてどう説明しようと、わが国民には(侵略の)歴史を正当化するものと理解されており、それが客観的な現実だ」と言明しました。

 大統領府によると、教科書問題について同大統領は「自民党の中心勢力が扶桑社教科書の採択を支援しているのではないかとの報道もあり、深い関心を持って見ている」と述べ、扶桑社の教科書を学んだ世代が「過去の侵略と植民地時代に正当な理由があったとか、大きな過ちではないという認識を持つようになる懸念がある」と強調しました。

 また、「歴史認識について根本的な問題が解決されなければ、今後の日韓関係で、一つの小さなきっかけが両国関係を爆発させる恐れがあり、相互不信を招く」と危機感を示しました。


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